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竹林軒出張所

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『キング牧師 vs. マルコムX』(ドキュメンタリー)

キング牧師 vs. マルコムX(2014年・仏Camera Lucida Productions)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー

「無理から」企画はもう結構

b0189364_811259.jpg 先日の『マリア・カラス vs. レナータ・テバルディ』『スティーブ・ジョブズ vs. ビル・ゲイツ』と同様「ライバル」シリーズの1本で、今回はキング牧師とマルコムX。
 ジョブズとゲイツのケースにも共通するんだが、キング牧師とマルコムXをライバル扱いするのはお門違いである。この2人をライバルとして取り上げること自体がなんだか野次馬的な印象を受ける。あるいは興味本位的かつ自己中心的なアプローチと言い換えても良い。
 実際にキングは公民権の実現という実績を残しているが、マルコムXについては何ら実績はない。単に虐げられていた人々を煽って騒ぎを大きくしただけである。マルコムXがキングの非暴力主義を批判していたのはわかるが、だからと言ってライバルと言うのはちょっと度が過ぎている。
b0189364_8114833.jpg マルコムXのキングに対する批判は、自分の見方を世界に当てはめるような狭隘な視点に立脚している。要するに(キングが語っていたように)マルコムは「非暴力を無抵抗と勘違いして」いたのである。たとえ多くの黒人の考え方を代弁していたとしても、その批判自体は取るに足りないもので、不平分子のそれと同じである。それどころかむしろキングの活動の足を引っぱる結果にすらなっている。キングが実際に仕事を行った人間であれば、マルコムは単なる批判者に過ぎない。そういう意味では同じ俎上に挙げることすらおこがましい。彼らの共通点と言えば、同じ時代に生き、同じ問題に取り組もうとしたということぐらいである。
 結局のところ、この企画自体がどことなく「無理から」みたいな印象があり、もしライバル対決の企画をやりたいってんだったら、本当にライバルと言えるような人々を取り上げなければならない。もっともそういう企画はこれまですでに出尽くしていて面白くないかもしれない。だが面白くなくても、それが製作者の良心というものである。
★★★

参考:
竹林軒出張所『キング牧師とワシントン大行進(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『スティーブ・ジョブズ vs. ビル・ゲイツ(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『マリア・カラス vs. レナータ・テバルディ(ドキュメンタリー)』
by chikurinken | 2015-06-25 08:12 | ドキュメンタリー
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