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竹林軒出張所

chikrinken.exblog.jp

『アメリカの新たな戦争 無人機攻撃の実態』(ドキュメンタリー)

アメリカの“新たな戦争”? 〜無人機攻撃の実態〜
(2013年・仏Premieres Lignes)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー

ドローンと現れてドカーン

b0189364_904452.jpg アメリカが「テロとの戦い」で無人機(いわゆるドローン)を使っていることを告発するドキュメンタリー。
 従来型の戦闘では、敵を捉え収監し裁判にかけることが最終目標だったが、こういう作戦は味方の被害が増える上、民間人の犠牲も増える。なによりアメリカが、こういう手間を厭うようになった。ということで、新しい兵器として採用されたのがドローンによるピンポイント爆撃である。この作戦では、無人機を数千メートルの上空に飛ばし、ハイテクカメラで地上を撮影しながら、ターゲットを狙いそこからミサイルを打ち込むという方法を採る。敵を正確に特定し、周りに何もないような砂漠地帯で敵だけを攻撃できれば確かに初期の目的は達せられるだろうが(人道的な問題は依然として残るが)、実際には、民間人の被害はかなり多く、パキスタンだけでも1449人が犠牲になっていると言う。ちなみにパキスタンだが、アメリカの交戦国ではない。アフガニスタンとイラクについては、確かにアメリカは交戦国扱いしたが、パキスタンではその条件すらも満たされていない。また他にもイエメンやソマリアでもこの種の兵器を多用しているらしく、オバマ政権になってその数400回以上にも上ると言う。
 このような攻撃をリードしているのはCIAらしいが、実際の現場では、敵として特定された人間以外も攻撃の的になっている。つまり多少怪しいそぶりが見えるだけで殺傷しているのが現状である(民間人がドローンで虐殺された映像が広く出回ったこともある)。このために被害者はますます増加することになる。これはしかし、国際法に違反する行為であり、戦争犯罪である……とするのがこのドキュメンタリーの主張で、現在パキスタンのある弁護士はCIAの元責任者に対して、被害者の立場から裁判を起こす準備をしている。少なくともこういった非人道的な殺戮は見過ごされてはならないと思う。のうのうとアメリカで暮らしている連中にそれ相応の罰を受けさせたいところである。などと書いているとオレもいつかはドローンからロケット弾を打ち込まれる羽目にならないとも限らない。恐ろしい世の中だ。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『ファルージャで何が起きているのか(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『“イスラミック ステート”はなぜ台頭したのか(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『過激派組織ISの闇(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『自衛隊と憲法 日米の攻防(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『戦車の時代がやって来た(ドキュメンタリー)』

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 以下、以前のブログで紹介したイラク戦争関連のドキュメンタリーに関する記事。

(2004年7月6日の記事より)
バグダッド出兵 〜続・アーカンソー州兵イラクへ〜(2004年・NHK)
NHK BS1 BSドキュメンタリー

 イラクの戦後処理のために徴兵されたアメリカ州兵たちが、イラクへ派遣され任務に就くまでを追う。
 州兵は、正規軍と異なり、民間人が月に数回の訓練を受けるだけの組織で、見返りとして大学の奨学金などが与えられる。通常は災害救助などの任務に当たるのだが、その州兵もいよいよイラク戦争に徴兵されることになった。
 州兵は、ほぼ民間人であるため職業意識も低く、しかも戦闘経験もない。あまり緊迫感もないままイラクに送られることになる。混沌としたイラクに到着し、あてがわれた装備は数十年前のものという有様。それにもかかわらず、任務は、正規軍から引き継いだ危険を伴うものだ。
 やがてゲリラから攻撃を受け、州兵にも犠牲者が出てくる。緊迫感はいやが上にも増し、この戦争の問題性にも対峙することになる。任務は2年間だ。
★★★☆

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(2005年1月25日の記事より)
検証 米メディアのイラク戦争報道(2004年・米Global Vision)
NHK BS1 BS世界のドキュメンタリー

 政府の不正を常に告発してきた(と少なくとも思われている)アメリカのメディアが、いかにして政府に取り込まれ、イラク戦争で「大本営発表」だけを垂れ流すようになったかを検証する。
 (当事国ではない)日本では、アルジャジーラ(中東ではアメリカよりと思われているそうな)の映像が紹介されたり被害者側からの報道もあったりしたが、(独立系放送局を除く)ほとんどのアメリカの放送局は、政府の立場を追随するような報道ばかりをしていたという(このドキュメンタリーでも例示されていた)。しかもフットボール中継さながらに、戦略や兵器をエンタテイメント的に紹介するだけで、戦争につきものの惨状や被害者の様子はまったくと言っていいほど報道されなかった。
 番組では、アメリカの放送局がなぜこのような、その存在意義を見失った態度に走ったか、いかにしてペンタゴンがかれらを抱き込んだか、軍がジャーナリストに対して何をしたか(あるホテルを戦車で攻撃したりしたらしい。『イラクの中心で、バカとさけぶ』 でも、この攻撃は現場の目で紹介されていた)などが、証拠映像を交えて示されていく。
 報道に関わる側からの反省と自戒を込めたドキュメンタリーである。このようなドキュメンタリーが作られることが、ある意味でアメリカのメディアらしいとも言える。
★★★☆

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(2005年11月13日の記事より)
アブグレイブで何が起きていたのか(2005年・NHK)
NHK BS1 BSドキュメンタリー

 イラクのアブグレイブ捕虜収容所で露見した捕虜虐待事件の真相を追うドキュメンタリー。
 現在、下級兵士十数名が捕虜虐待の罪を告発されているが、実は軍当局の命令で行われたことで組織ぐるみであったことを告発する。
 だが、すでに何度も語られたことで、目新しさはほとんどなかった。
★★☆

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(2006年2月17日の記事より)
なぜアメリカは戦うのか(2004年・米 Charlottestreet Films)
NHK ハイビジョン特集

b0189364_924114.jpg アメリカ合衆国政府内で軍産複合体が力を持ちつつあることはよく知られていることだ。そしてこういった軍事産業がその売り上げを伸ばす上で欠かせないのが戦争だ。軍産複合体に支配されたアメリカは、方々で戦争を起こして、軍事産業に需要をもたらしている(イラク戦争もその一環)。軍事産業側も要職に人を送り込んだり取り込んだりすることで、政策決定に介入する。市民の税金はこうして軍事産業に流れていくことになる。
 ベンジャミン・ミルフォードは日本を称して「泥棒国家」と言ったが、どうしてどうしてアメリカも立派な「泥棒国家」ですがな。しかも海外の人々の犠牲の上に成り立っているときている。汚職も日本とはスケールが違うようで、そのあたりもこの番組で紹介されていた(チェイニー副大統領とハリバートンの関係など)。
 噂レベルでいろいろ言われていることをわかりやすくまとめ、現代アメリカにとっての戦争がどういう意味合いを持つか的確に指摘している優れたドキュメンタリーだ。
 番組内で「米国内ではこれまでずっと民主主義と資本主義がせめぎ合ってきており、民主主義が優位だった時代もあるにはあったが、現在では資本主義が完全に力を持っている」というようなコメントがあった。一般的に「民主主義=資本主義」と考えられがちであるが、なかなか新しい視点で、目から鱗が落ちるような議論である。このドキュメンタリーの主張に従えば、「資本主義」が政府、議会、シンクタンクをすべて取り込んでしまったということになる。
 今の日本も「小アメリカ」というような状況にある(当然と言えば当然だが)と感じさせられた1時間半だった。
サンダンス映画祭グランプリ(アメリカ・ドキュメンタリー部門)受賞
★★★★
by chikurinken | 2015-05-05 09:05 | ドキュメンタリー
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