ブログトップ | ログイン

竹林軒出張所

chikrinken.exblog.jp

『精神』(ドキュメンタリー)

精神(2008年・Laboratory X)
監督:想田和弘
撮影:想田和弘
編集:想田和弘
ドキュメンタリー

とある精神科診療所の日常

『精神』(ドキュメンタリー)_b0189364_893598.jpg 岡山のとある精神科診療所(こらーる岡山)に取材し、医師や患者の日常に迫ったドキュメンタリー映画。
 監督は、日本の選挙事情をあぶり出した『選挙』の想田和弘で、前作同様ナレーションは一切入らず、映像だけが流れる。そのため現場に実際に居合わせているような感覚にもなるが、しかし映像の中で大した事件は起こらないため一生懸命見ていると少々退屈する。登場する患者たちは、あるいは躁鬱病、あるいは統合失調症であるが、見た目はまあ普通。話される内容は、破綻した生活だの虐待の話(乳児まで殺したと……)だの、あるいは家族と縁が切れた話だのであまり愉快な話はない。
 こらーる岡山を運営している精神科医師は山本昌知という方で、この人がまた、ほとんど手弁当でこの診療所をやっているような赤ひげ先生。非常に立派な人で、患者や診療所スタッフからも慕われている。この映画で唯一心地良い箇所と言えば、この赤ひげ先生にスポットが当たる部分くらいである。
 監督は映画の中で、精神障害の人々と正常な人々の間にある壁を超えてみたかったと語るが、確かにそれはできているかも知れないが、だからといって映画の内容が充実しているとは言えないのは辛いところ。劇場で2時間半近くこの映画を魅せられたらきついかなと思う。まあ異色作であるのは確かだが。
釜山国際映画祭、ドバイ国際映画祭最優秀ドキュメンタリー賞受賞
★★★

参考:
竹林軒出張所『選挙(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『選挙2(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『Peace(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『ザ・ビッグハウス(映画)』
竹林軒出張所『港町(映画)』
竹林軒出張所『生きづらさに向き合って(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『統合失調症がやってきた(本)』
竹林軒出張所『今日もテレビは私の噂話ばかりだし……(本)』
竹林軒出張所『入院しちゃった うつウーマン(本)』
竹林軒出張所『失踪日記2 アル中病棟(本)』

by chikurinken | 2015-04-21 08:10 | 映画
<< 『ゆきゆきて、神軍』(映画) 『LOVE理論』(1)(201... >>