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竹林軒出張所

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『破綻する影の銀行』(ドキュメンタリー)

破綻する影の銀行 〜中国社会を揺るがす新たな危機〜
(2015年・NHK)
NHK-BS1 ドキュメンタリーWAVE

影から出てきたシャドーバンキング

『破綻する影の銀行』(ドキュメンタリー)_b0189364_6575258.jpg 「シャドーバンキング」と呼ばれる金融機関が中国内で拡散していて、これがゆくゆくは中国経済の破綻につながるなどという人もいるが、そもそもシャドーバンキングがどういうものか、その実態はなかなか伝わってこない。このドキュメンタリーでは、シャドーバンキングの問題を追跡し、その実態を明らかにしていく。そしてそこにどのような問題があるかを報告する。
 シャドーバンキング、つまり影の銀行だが、このドキュメンタリーで紹介されている金融機関では、シャドーバンキング側が年利20%などの高利回りをうたって投資を募集し、それに応じた投資家に対して何度か配当はあるが、そのうち当事者が姿をくらましてしまい、投資した金額がパーになるというもの。一時期日本でも横行していた投資詐欺と同じ(今でもあるようだが)で、違いは行政機関がこういう機関にお墨付きを与えているという点と、トンズラこいた当事者が処罰されない(現時点で)という点である。このあたりは国の経済政策(公定歩合抑制策)や、地方行政の過剰投資などとも絡んでいるためで、そのために、こういう詐欺まがいの悪事を働いた当事者が罰せられないモラル・ハザードが起こっているという点が最大の問題である。投資した人々は、あるいはなけなしの金を投じたりしていて、泣くに泣けない状況が起こっている。しかも、こういった投資詐欺(と言いきってしまうが)の被害者は1000万人にも上ると言うんだから洒落にならない(この数字についてはちょっと留保したいところだ)。
 このドキュメンタリーの中で、被害者が加害者(つまり逃げた経営責任者)の居所を探し回るというシーンもあったが、行政がかかわっているせいかどうか知らないが、かれらの行方はようとしてわからない。いずれにしても被害者にとっては洒落にならないわけで、そういうことを考えると政府当局が何とか手を打たないと、この1000万人が反乱を起こしかねない。
 これが中国経済の経済破綻につながるかどうかはにわかに判断できないが、少なくとも当局が放置しておくわけにもいかないだろうと思う。ともかく、シャドーバンキングの実態や、それが中国社会に与えている影響は見て取れた。なかなか面白いテーマだったと思う。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『廃虚になったマイホーム(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『中国“経済失速”の真実(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『日本国債(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『マネー資本主義第4回(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『テレビに映る中国の97%は嘘である(本)』

by chikurinken | 2015-04-10 06:58 | ドキュメンタリー
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