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竹林軒出張所

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『シェールガス開発がもたらすもの』(ドキュメンタリー)

シェールガス開発がもたらすもの(2014年・南アStage 5 Films/Zootie Studios)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー

シェールガス開発がもたらすもの、それは世界の災厄

b0189364_844752.jpg 南アフリカ版の『ガスランド』
 南アフリカのカルー地方にシェールガス掘削計画が持ち上がった。開発当事者のシェルオイルも行政も、シェールガス開発は良いことずくめという発言を繰り返し、正確な情報が地元住民には伝えられない。そんな中、この地域で育ったドキュメンタリー作家が、当事者たちが語っていることが本当なのか、『ガスランド』などのドキュメンタリーで伝えられている実態の真相はどうなのか、実際に自分の目で確認するためアメリカに赴き、アメリカのシェールガス開発の実情をレポートする。
 だが、取材クルーが実際にアメリカで目の当たりにした事実は、『ガスランド』のまま、あるいはもっとひどい状況であった。石油会社の重役は、環境問題が報告されている事例はまったくないと口にするが、実際は環境汚染だらけ。飲料水の汚染はいうまでもなく(『ガスランド』でレポートされたように水に火が付く)、ガス井からしみ出てくる揮発性有機化合物のせいで、周囲の大気まで汚染されている。住民には健康被害を訴える者もある。だがその実態が住民から語られることはほとんどない。というのも、住民に対して相互秘密保持契約を結ばせ、実態を語らせないような策が掘削会社によって施されているためである。石油会社の重役が言うように、環境問題が会社のトップに報告されることはほとんどないが、それは環境問題がまったく報告されないような仕組みになっているからである。
 このような実態を南アフリカの人々に伝えるために作られたのがこのドキュメンタリーであるが、その目的は十分果たされていると言える優れた番組になっている。とは言えこのドキュメンタリーによると、南アフリカ政府はすでにシェールガス開発を進める方向で動き出しているようだ。南アフリカの環境に取り返しのつかない環境破壊をもたらすのではと危惧されるが、環境破壊が一部地域に限定されるわけではないのがこのシェールガス開発。シェールガス井からは、温室効果ガスとして有名なメタンガスが(ガス開発が終わった後も)空中に放出され続けるという。ちなみにメタンガスは二酸化炭素の20倍以上の温室効果を持つとされる。シェールガスによる環境破壊はもはや対岸の火事ではない。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『ガスランド(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『脱原発。天然ガス発電へ(本)』
竹林軒出張所『岐路に立つタールサンド(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『プロミスト・ランド(映画)』
by chikurinken | 2015-03-12 08:47 | ドキュメンタリー
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