日曜劇場 終りの一日(1975年・TBS)
脚本:山田太一
演出:甫喜本宏
出演:北林谷栄、小倉一郎、坂口良子、神山繁、及川広夫、村井洋、大橋英子
山田太一の「短編小説」みたいな趣のドラマ 『東芝日曜劇場』の1本で、脚本は山田太一。今回、本作以外に、同じく山田脚本の日曜劇場である『三日間』と『それからの冬』も見たが、こうしてまとめて見てみると、さながら山田太一の短編集みたいに感じられる。どの作品もそれなりに見所があって面白く仕上がっており、コンパクトにまとめられている。
校長の再三にわたる辞任勧告(今で言うパワハラ)を承けて引退を決意した中年女教師の教師生活最後の1日が舞台設定になる。だからといって、かつての教え子が集まり先生の辞任を撤回させるというような話にはならず、主人公の女教師が酒の勢いでこれまでの鬱憤をぶちまけるという、何とも落ち着かない話になる。結局この主人公の気持ちがテーマになり、そこに教え子の生き方が絡んでくるという展開で、まさに短編小説のような趣で、それなりに味わい深い。こういう話をさらりとやってのけるのが、当時の山田太一の魅力なんだろうと思う。
主人公の女教師は、若い頃からずっと婆さん役をやっていた北林谷栄が演じるが、このドラマでは年相応の役で、かえって新鮮である。
『それぞれの秋』の小倉一郎と、当時売れっ子女優だった坂口良子が良い味を出して、ドラマに花を添えている。
★★★☆参考:
竹林軒出張所『日曜劇場 三日間(ドラマ)』竹林軒出張所『日曜劇場 それからの冬(ドラマ)』竹林軒出張所『日曜劇場 風前の灯(ドラマ)』竹林軒出張所『日曜劇場 縁結び(ドラマ)』竹林軒出張所『日曜劇場 秘密(ドラマ)』竹林軒出張所『山田太一のドラマ、5本』竹林軒出張所『続・山田太一のドラマ、5本』竹林軒出張所『喜劇 にっぽんのお婆あちゃん(映画)』