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竹林軒出張所

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『子どもの夜ふかし 脳への脅威』(本)

子どもの夜ふかし 脳への脅威
三池輝久著
集英社新書

思ってる以上に睡眠は重要なのさ

『子どもの夜ふかし 脳への脅威』(本)_b0189364_738126.jpg 子どもの夜更かしが生活リズムを狂わせ、不登校や引きこもりの最大の原因になっているということを告発する本。著者は小児科医。
 現代に蔓延する夜型の生活の影響を子どもたちがモロに受けており、その結果生活リズムが乱れて、最終的に概日リズム(体内時計によって形成される生活の周期)の狂いが生じるということが、昨今頻繁に起こっているというのが著者の主張。さらには、幼少期における概日リズムの狂いが自閉症の原因になると主張する。
 さすがに自閉症の原因が概日リズムの狂いというのはにわかに信じがたいが、睡眠障害が中高生をむしばんでいる状況は最近間近に目にしているので、著者の主張には概ね賛同する。この本で取り上げられているケーススタディは、リアリティが感じられるものばかりで、それだけでも著者の(多くの)主張の信憑性が裏付けられるというものである。過剰な勉強やゲームのために睡眠障害で苦しむことになった若い人達、およびその周囲の人々に是非読んでほしい本である。
★★★☆
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 以下は、以前のブログで紹介した同著者の本『学校を捨ててみよう!』の評の再録。

(旧ブログ2004年7月16日の記事より)
学校を捨ててみよう! 子どもの脳は疲れはてている
三池輝久著
講談社プラスアルファ新書

『子どもの夜ふかし 脳への脅威』(本)_b0189364_739102.jpg ひきこもりや異常な少年犯罪は、少年の脳が疲労によって障害を受けているせい(慢性疲労症候群)であって、早急に対応しなければならない、ということを訴える小児科医師の本。
 前半部の若年世代の分析については少し問題があるが、後半部の脳生理学からの各症状の分析や、教育制度に対する批判はなかなか読み応えがある。少年の問題に対する1つの(ただし非常に有力な)解釈ととらえて読むのが良い。私自身、心当たりがある点がいくつかある。
 慢性疲労症候群が発症している子どもたちに対する具体的な処法も記述されている。現代の教育全般に警鐘を鳴らす真摯な本だ。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『脳は眠らない 夢を生みだす脳のしくみ(本)』
竹林軒出張所『ヒトはなぜ人生の3分の1も眠るのか?(本)』
竹林軒出張所『睡眠こそ最強の解決策である(本)』
竹林軒出張所『「金縛り」の謎を解く(本)』
竹林軒出張所『脱ネット・スマホ中毒(本)』

by chikurinken | 2014-11-29 07:39 |
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