いじめっこいじめられっこ (1)
谷川俊太郎と子どもたち著
童話屋
純粋さが痛いほど伝わってくる本
本体価格300円の文庫本。子どもたちの小遣いでも買える本というコンセプトで出版されたらしい。内容は、いじめに関連する詩を紹介していくというもので、掲載されている詩は谷川俊太郎のものの他、実際に小中学生が書いたものである。谷川俊太郎も小さい頃いじめに遭ったらしく、詩を書くことで鬱憤を晴らすことができたという。そのため、子どもたちにもいじめで嫌な思いをしたら詩を書くことで鬱憤を晴らせと勧めている。
ここに掲載されている子どもたちの詩には、いじめに対するさまざまな思いがストレートに表現されていて、いろいろなことを感じる。本書の編者の田中和雄氏は、この本をスタートラインとして「いじめさよなら運動」を展開しようと目論んでいるらしい。
このように、この本にはそもそもの製作の動機からして非常にピュアな印象を感じるが、安価に設定して売るという販売方針についても純粋さが窺われる。とは言ってもこの値段で本当に商売が成り立つのかはよくわからない。善意で始められた企画はうまく行ってほしいが、現実は厳しそうである(300円で売ってはたして儲けが出るんだろうか……と思う)。成功を祈りたいところである。
★★★☆参考:
竹林軒出張所『ぼく 闇は光の母3(本)』竹林軒出張所『谷川俊太郎と死の絵本(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『詩のこころを読む(本)』竹林軒出張所『喜劇 にっぽんのお婆あちゃん(映画)』竹林軒出張所『いじめを語ろう 〜カナダ ある学校の試み〜(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『カナダ いじめ撲滅プロジェクトの1年(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『いじめの果てに(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『追いつめられて 〜アメリカ いじめの実態〜(ドキュメンタリー)』