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竹林軒出張所

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『美しき日本の面影 小泉八雲のアルバム』(ドキュメンタリー)

美しき日本の面影
没後100年 小泉八雲のアルバム
(2004年・NHK)
NHK-BSプレミアム ハイビジョンふるさと発

ドラマ『日本の面影』ドキュメンタリー版

『美しき日本の面影 小泉八雲のアルバム』(ドキュメンタリー)_b0189364_759497.jpg 小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の日本での足跡を追うドキュメンタリー。
 八雲が所有していたアルバム(現在、子孫が所有)から写真をピックアップし、彼が気に入っていた出雲の風景(つまり日本の原風景)や素朴な人々などを取り上げることで、八雲の世界観に迫る。この番組では、作品だけではなかなかわかりにくい作者の全体像を、さまざまな素材を通じて明らかにしていて、結果的に彼の作品に内包される魅力を伝えることに成功している。八雲の代表作である『怪談』の背後に、自然への畏怖とあこがれがあること、そしてそれこそが八雲が出雲の地を気に入った理由でもあることもわかる。小林秀雄がかつて、全集を読むことでその作家の、代表作に必ずしも反映されていない真の全体像に迫ることができると書いていたが、まさにそれを地でいくようなドキュメンタリーである。
 ナレーションを担当するのは壇ふみだが、壇ふみは、かつてNHKで放送されたドラマ『日本の面影』で、八雲の妻セツを演じていた人である。あのドラマでも八雲の世界観が表現されており、出雲の自然や人に対する憧憬が描かれていたが、このドキュメンタリーも同じアプローチをとっている。多分にあのドラマを意識しているんじゃないかと薄々感じていたが、それは壇ふみを起用したことにも見受けられる。宍道湖の映像や橋の映像もあのドラマと共通するものがあった。もう一度あのドラマを見てみたいと感じさせるようなドキュメンタリーで、八雲が単に『怪談』だけの人じゃないことがわかる。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『日本の面影 (1)〜(2)(ドラマ)』
竹林軒出張所『日本の面影 (3)〜(4)(ドラマ)』
竹林軒出張所『新編 日本の面影(本)』
竹林軒出張所『海を渡った600体の神仏(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『にっぽん 微笑みの国の物語 前編(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『100年前の世界一周(本)』
竹林軒『映画レビュー:「ラスト・サムライ」に見る「逝きし世の面影」』

by chikurinken | 2014-10-11 08:01 | ドキュメンタリー
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