森田つぐみ
『愛のスケッチブック+3』1. 少女期
2. 心の似顔絵
3. おろしたての放課後
4. お嬢さんお手をどうぞ
5. ウィークエンド
6. さよならは似合わない
7. もうひとつの時間割り
8. 恋の伝言板
9. 風の匂い
10. シャボン玉
<ボーナストラック>
11. めざめる頃
12. 恋して海岸通り
13. 冬の哲学
永らくお待ちしておりました。
森田つぐみのアルバム
『愛のスケッチブック』が3日前に発売になり、とうとう入手することができた。思えばこのアルバムの復刻を望み、ソニーの
オーダーメイドファクトリーにリクエストしたりして、しかもそのたびに無視され続け、結局待つこと5年。アルバムの発売が判明したのが数カ月前。やっと!という思いで8月に予約を入れ、2日前に手にしたという次第。
あらためて言うのも何だが、森田つぐみは1976年にデビューしたアイドル歌手である。このブログでも以前書いたので、詳しくはそちらを見ていただくとして(
竹林軒出張所『おとこごころをくすぐる歌』、
竹林軒出張所『森田つぐみ登場!』)、彼女の歌手としての活動期間は実質1年で、その後はバラエティ番組のアシスタント司会をやったり、NHKで歌のお姉さんみたいなこともやったりしたらしい。そのため、歌手としての活動で残っているものは76年に発表されたシングル・レコード3枚とアルバム1枚のみで、残された楽曲は全部で13曲ということになる。このあたり、同時期にデビューして消えていった三木聖子とまったく同じ境遇である(詳細については
竹林軒『あるアイドル歌手の全記録「ベスト/三木聖子」』)。
三木聖子もこの森田つぐみも、今聞くととても可能性を感じさせる歌手なんだが、時代との相性に難があったのか、二人とも1年で歌手活動を辞めている。なんとももったいない話である。そう言えば三木聖子だが、上記の記事を書いたときは消息を知らなかったが、その後判明したところによると、なんでも引退のきっかけは結婚だったそうで、言ってみれば寿退社ということになる。相手は音楽プロデューサーだかなんだかで、ステージの企画をやる人だったと思うが、三木聖子も引退後、彼の仕事を手伝っていたということで、そうすると「事務員になっていた」という噂もまんざらデタラメではなかったわけだ。YouTubeにも以前、三木聖子が出演したバラエティ番組(「あの人は今」みたいな企画)がアップロードされていて、その時点で仙台在住で夫の仕事の手伝いをしているというところまではわかっていた。で、先週『爆報! THEフライデー』とかいうTBSの番組に、現在の三木聖子の消息が出ていて、それによると現在も仙台在住で、スナックの経営までやっているということがわかった。しかも、その番組では、店で「まちぶせ」を歌っている映像まで流されていた。これはもちろんテレビ用の企画だろうが、普段は歌わない……というか歌えないんだそうだ。もう声が出ないという話だ(もっともこの番組で放送された「まちぶせ」はある程度しっかり声が出ていたが)。それからこの番組では、三木聖子の体験をユーミンが歌にしたものが「まちぶせ」だというエピソードも披露されていた。道理で三木聖子版の「まちぶせ」に鬼気迫る迫力があるわけだ……と妙に納得したのだった。
それはさておき、森田つぐみだ。森田つぐみも随分消息がわからなかったんだが、今はWikipediaに「森田つぐみ」という項目があって、それによると、西宮のカフェバーで店長を務めていて、ときどきピアノも弾いているらしい。お元気そうで何よりである。(このCDのライナーによると)元々ピアノで音大を志していたこともあるらしいんで、今は楽しみながら仕事なさっているんではないかと推測される。
このCDには、オリジナルの『愛のスケッチブック』全曲プラス3曲が収録されているが、特にボーナストラックの「冬の哲学」と「恋して海岸通り」がお奨めである。「冬の哲学」は、TBS系列で放送されていた『笑って!笑って!!60分』の番組内コーナー「続・哀愁学園」の主題歌だそうだ(まったく記憶にない)が、シナリオライターの佐々木守が詞を書いており、「死んだ赤とんぼを見つけたわ今朝も」で始まる詞がなかなか深い。服部克久の曲も詞によく合っている。もう1つの「恋して海岸通り」は、アップテンポでノリがとても良い曲である。メロディラインも面白いが、どこかで聞いたことがあるような……と考えていたところ、山内賢と和泉雅子が歌ってヒットした「二人の銀座」に前半部がよく似ている。そのためか、どこかベンチャーズ歌謡風のノリの良さがある。あ、「二人の銀座」の作曲はベンチャーズなのね。「恋して海岸通り」には、それに加えアイドル歌謡風の味も含まれていて、それがまた良い。
このCDがどれだけ売れるかはわからないが、たとえあまり売れなくても、販売元はこれに懲りて同じような企画から手を引いたりしないでもらいたいと思う。こういう企画は、たとえ売れないにしてもアーカイブ、資料という観点から見てとっても大切なのだ。ちなみにこのCDを販売するという大英断を下したのはウルトラ・ヴァイヴという会社である。感謝感謝。
参考:
竹林軒出張所『おとこごころをくすぐる歌』竹林軒出張所『森田つぐみ登場!』竹林軒『あるアイドル歌手の全記録「ベスト/三木聖子」』