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竹林軒出張所

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『ゴジラ (54年版)』(映画)

ゴジラ(1954年・東宝)
監督:本多猪四郎
原作:香山滋
脚本:村田武雄、本多猪四郎
出演:河内桃子、宝田明、志村喬、平田昭彦、堺左千夫

シナリオも演出も拙い

b0189364_814197.jpg 先日もハリウッドでリメイクされた『ゴジラ』シリーズの元祖となった映画。ビキニ環礁の水爆実験のせいで、古代の恐竜が怪獣として甦り、(なぜか)東京湾に何度も出没するというストーリー。
 ストーリーは、SFとして見ればそれなりだが、細部が結構いい加減で、あまり説得力がない。特にシナリオの拙さが目立ち、各エピソードに繋がりが見られないため、非常に稚拙な印象を受ける。子ども向け映画として見れば別段抵抗も抱かないが、世間にこの映画をやたらに褒めそやす風潮があるようで、もちろん古典的な価値は認めるが、それ以上ではないというのが僕の感想である。それから東宝映画特有なのかよく知らんが、黒澤映画でもたびたび見られるように、音が甚だしく聞きとりにくい。志村喬の委員会での演説も何言ってんだかわからない。今回NHK-BSで放送されたものを見たんだが、やはり音が聞きとりにくかった。ただし、画像についてはリマスターされているということで、画面の揺れなどもなく、おそらく当初意図されていた映像に近いものだったのではないかと思う。
 見ていて一番引っかかったのは、ゴジラがなんのために太平洋の沖合から東京湾に現れ、しかもたびたび東京に上陸したかという説明が一切なかったことで、そのあたりがリアリティの欠如にもつながっている。要するに、台風とか元寇とかと同じで、被害者側から見た「来てもらっちゃ困るもの」の象徴として描かれているに過ぎないのではないかということ。それにゴジラの2回目の上陸時に(ゴジラ防衛のため)東京湾沿岸に高圧電線塔ネットワークがあっという間に張られたというのもヲイヲイとツッコミを入れたくなってしまうようなもので、これだと秀吉の一夜城みたいな仕事が行われたことになる。要するに方々にデタラメが散りばめられていて、ストーリーとして説得力を著しく欠いているのである。あげくに新兵器でゴジラを倒すなどと調子の良い結末を迎えるとなると、思わずつんのめりそうになる。
 興味深かったのは、ゴジラが東京に現れたときに逃げ惑う人々の姿で、これなどはおそらく(この映画の10年前の)東京大空襲の記憶が反映されているのではないかと思う。その後の特撮映画でよく出てくる「大八車に家財道具を積んで逃げ惑う市民の図」というのも、この映画が元祖なのかと思うと感慨深いものがある。このようにところどころリアリティを感じられる部分もあるが、子ども向けの映画として見なければならないような拙さが全編に漂っていることは否定できず、まともな映画として見ることはできない。
★★☆

参考:
竹林軒出張所『音で怪獣を描いた男 〜ゴジラVS伊福部昭〜(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『モスラ対ゴジラ(映画)』
竹林軒出張所『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ(映画)』
竹林軒出張所『マタンゴ(映画)』
竹林軒出張所『ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦 ! 南海の大怪獣(映画)』
by chikurinken | 2014-09-06 08:16 | 映画
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