ブログトップ | ログイン

竹林軒出張所

chikrinken.exblog.jp

『本当は学びたい』(ドキュメンタリー)

本当は学びたい 〜貧困と向き合う学習支援の現場から〜
(2014年・NHK)
NHK-Eテレ ETV特集

高等教育の底辺を垣間見た

b0189364_961672.jpg 『学ぶことの意味を探して』に続くETVの教育特集。現代日本の教育の問題を鋭く描き出すドキュメンタリーである。
 今回は、家庭の経済的事情で高校にいけなかった若者たちが、なんとか通信高校を卒業できるよう支援するNPO団体に焦点を当てる。
 家庭が貧困であるために、中学を卒業してすぐに職に就くが、中卒扱いであるため待遇が悪く、条件の良い職に就くこともできない。結果的に貧困が次の世代にも引き継がれることになる。彼らにとっては、高卒資格を得ることが状況改善のための第一歩であるが、たとえ通信制高校を利用するとしても、内容がわからないためにレポートさえ提出できず、通信高校さえ卒業できないという現状がある。一方で、勉強を教えたりいろいろな相談に乗ったりすることで、こういった人々を支援しようとする団体もある。この番組に登場したNPOもそういう活動を行っており、主宰しているのは元高校教師の青砥氏。
 こういったNPOの活動は、社会の網をこぼれ落ちた人々を救うものであり、行政としては大切にすべきものだと思うんだが、行政からの金銭的支援は目下のところないらしい。そのため現状では、スポンサーを募って、金を集めているというのが現状である。そのために多くはボランティアに頼ることになり、そういう点で運営状況はあまり健全とは言えない。それを考えると、手弁当で行っている彼らの活動は大変な仕事であり、頭が下がる。
 ここに集まってくる若者たちも、家庭の問題や職場の問題を抱えており、継続的に勉強を続けるということが難しいという側面もある。そんな中でも前向きに取り組んで好結果につなげている若者たちもあり、そのことがこの活動の関係者の精神的な支柱になっているというのもわかる。
 この番組を見ていると、関係者の良心がよく伝わってきて、大変心持ちが良くなるが、一方で、こういう活動をやらない行政、資金援助さえしようとしない頭の固い行政には腹立たしい思いを抱く。底辺を支えて状況を改善していくことこそが、行政の真の役割ではないかと思うが、まあ、こういう声は彼らには届かないんだろうな……とも思う。
メディア・アンビシャス2014映像部門・アンビシャス賞受賞
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『こんばんは(映画)』
竹林軒出張所『学ぶことの意味を探して(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『高校中退(本)』
竹林軒出張所『私たちの未来を救って!(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『みんなの学校(ドキュメンタリー)』

by chikurinken | 2014-07-16 09:07 | ドキュメンタリー
<< 『米国人一家、おいしい東京を食... 『音で怪獣を描いた男 〜ゴジラ... >>