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竹林軒出張所

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『D-Day 壮絶なる戦い』(ドキュメンタリー)

D-Day 壮絶なる戦い 前編後編(2013年・BBC)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー

物量にものを言わせてDデイを再現

b0189364_731318.jpg 第二次世界大戦でヨーロッパ戦線のターニング・ポイントになったのは、言うまでもなくノルマンディー上陸作戦で、映画『史上最大の作戦』『プライベート・ライアン』でも取り上げられるほどのエポックであった(ロバート・キャパの写真でも有名)。そのノルマンディー上陸作戦が決行されたのが1944年6月6日で、その70周年企画としてこのドキュメンタリーが、NHK-BSで2014年6月4、5日に放送された。
 このドキュメンタリーでは、当時の映像とCGと再現映像を使ってこの作戦を振り返り、その間に随時、この作戦に参加して生き延びた人々へのインタビューを挟んでいく。ヒストリー・チャンネルあたりでよく放送されるような歴史ドキュメンタリーである。演出は非常に正攻法で、作りも丁寧。歴史ドキュメンタリーとしては申し分のない作品になっている。
 このドキュメンタリーによると、連合軍は、ノルマンディー上陸作戦以前にもヨーロッパ大陸への侵攻を試みているが失敗している。そのせいもあって、この作戦では、航空機を使って事前に大陸の沿岸部の写真(2台のカメラで同時に撮影した3D写真)を大量に撮影し、それに基づいて作戦を立てるという周到さを見せた。なんでも当時、ドイツは、ヨーロッパ大陸沿岸部にスカンジナビア半島からイベリア大陸に至るまで要塞を敷き詰めるように敷設していたらしく(「大西洋の壁」)、どこの沿岸も突破するのは非常な困難を極めることが想像されたという。結局、その時点でもっとも手薄と見られたフランスのノルマンディーが選ばれたということなのだ。
 こうして、英国南岸から4つのルートでノルマンディー沿岸に上陸し、同時に大陸内の要衝にもパラシュート部隊を降下させることで、大陸内に拠点を築くという作戦が立てられた。決行は当初6月5日に決まっていたが、悪天候を回避して翌日に決行される。ちなみにタイトルの「D-Day」はこの決行日を指す。作戦では、多大な被害を出すことになったが、それでも事前に撮影していた3D写真が功を奏したことから作戦は成功し、連合軍は大陸に橋頭堡を築くことに成功、この作戦以後戦局が大きく転換し、やがて連合軍はドイツ軍を駆逐することになる。
b0189364_7315033.jpg 戦記ドキュメンタリーとしてよくできた番組で十分面白かったが、当然のことながら連合軍中心の視点で、内容については特に目新しさはない。むしろこの番組で驚いたのは、ドイツ軍の物量のすごさで、ヨーロッパの沿岸全体に渡って要塞を築いていたことはまったく知らなかった。闘った相手は英米など大国の連合軍であり、それに数年に渡って対抗していたことも驚きである(決してナチスを肯定しているわけではないよ)。また、このノルマンディー上陸作戦についても、失敗する可能性も大きかったらしく、悪天候のためにドイツ軍が「この日には作戦決行なし」と考えていたことが大きな要素になったというのも興味深い。当時指揮官だったロンメルも休暇を取っていたらしい。もっともこういう歴史観は連合国側のものであり、ドイツ軍の側から検証したらまた別の見方が生まれるのかも知れない。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『史上最大の作戦(映画)』
竹林軒出張所『プライベート・ライアン(映画)』
竹林軒出張所『ダス・ライヒ ヒトラー “死の部隊”(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『パットン大戦車軍団(映画)』
竹林軒出張所『運命の一枚 “戦場”写真 最大の謎に挑む(ドキュメンタリー)』

by chikurinken | 2014-06-23 07:32 | ドキュメンタリー
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