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竹林軒出張所

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『氾濫』(映画)

氾濫(1959年・大映)
監督:増村保造
原作:伊藤整
脚本:白坂依志夫
出演:佐分利信、沢村貞子、若尾文子、左幸子、川崎敬三、中村伸郎、叶順子、潮万太郎、船越英二

真田夫人の恋人は
お馬さんになった


b0189364_7393921.jpg 『チャタレイ夫人の恋人』を翻訳して物議を醸した(いわゆる「チャタレー事件」)伊藤整原作の『氾濫』を映画化したもの。『氾濫』というタイトルは、この映画の予告編によると「性(セックス)の氾濫」から来たものということで、内容は奔放な性を描くものになっている。
 主人公、真田(佐分利信)とその妻(沢村貞子)はそれぞれで不倫しているし、元級友の大学教授(中村伸郎)も愛人がいる。娘(若尾文子)も、サイコパスまがいの若手研究者(川崎敬三)に迫られて関係するが、実はこの若手研究者には他にも関係していた女がいて、しかも出世のためにさらに他の女にも手を出すという始末である。モラルもへったくれもあったもんじゃない。出てくる登場人物がことごとく一般的な道徳観に反するような行動をとっていて、見る側に対してちょっと挑戦的な印象を与える。
 ただ、内容的にはそういったレベルでとどまっており、呆れたり不快になったりはするが、結局それだけであまり残るものはない。いずれ内容についても忘れてしまいそうな、そういった類の映画であった。演出も正攻法だが平凡である。
 一つ面白かったのが、船越英二演じるプレイボーイが、『痴人の愛』の主人公さながら、若い女の「お馬さん」をやっていたことで、このシーンが、67年の映画『痴人の愛』の一場面と非常によく似ていた。どちらも同じ監督の作品だが、もしかして増村監督、この映画を作っているときに、『痴人の愛』映画化の構想を思い付いたのかしらんなどと感じたのだった。
★★★

参考:
竹林軒出張所『巨人と玩具(映画)』
竹林軒出張所『妻は告白する(映画)』
竹林軒出張所『痴人の愛(映画)』
竹林軒出張所『刺青(映画)』
竹林軒出張所『卍(映画)』
by chikurinken | 2014-06-19 07:40 | 映画
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