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竹林軒出張所

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『学ぶことの意味を探して』(ドキュメンタリー)

学ぶことの意味を探して 〜神田一橋 通信制中学の歳月〜
(2014年・NHK)
NHK-Eテレ ETV特集

学校に通えることはラッキーなんだなと
あらためて感じる


b0189364_7424318.jpg 以前、夜間中学を扱ったドキュメンタリー映画『こんばんは』という映画を見て大変感動したことがあるが、このドキュメンタリーでは、通信制中学という、夜間中学以上に世間でほとんど知られていない学校を取り上げている。通信制中学というのは、日本全国に現在2校だけしかなく、戦争時の混乱などで中学を卒業していない人を対象に設けられた施設で、基本は、通信高校同様、レポートの提出で単位が認定されるというシステムになっている。ただし年20回ほど、日曜日に登校して授業を受けるという仕組みになっていて、そういう点では夜間中学とも共通点がある。
 このドキュメンタリーでは、神田一橋中学校の通信教育課程が舞台になっていて、今年卒業した2人の卒業生にスポットを当てる。二人とも70歳を超えており、どちらも戦後丁稚奉公に出され、中学に通うことができなかったという方々。このうち一人(男性の方、宮城さん)は、中卒資格がないために国家資格が取れず、仕事上で随分不自由な思いをしてきたという。そういうわけで中学で勉強することに対する意欲は非常に強い。また女性の方(峯永さん)も、家で夫の介護に忙殺されており、抑鬱気味で、学校に通うことが気晴らしであり同時に自己を確認する場になっている。こちらの方は、途中で欝病の症状が出て通学できなくなり、2年留年することになった。そのために学年で唯一の生徒だった宮城さんと同じクラスに入って、この学年が2人になったというわけ。
b0189364_7433174.jpg 何よりもこの二人、学校に通うこと、学ぶことに意欲を燃やしており、それが見る側にもよく伝わってくる。そもそもこの中学校、日曜日以外は普通の授業が行われていて、日曜日も外で部活動が行われている。つまり同級生は、直接顔を合わさないにしても孫ぐらいの世代、先生だって子どもぐらいの世代であるわけで、やはりそれなりの覚悟や意欲がなければなかなかできないことである。僕が顔を出している美術教室にも年長者の方が多いが、あの人達も、この二人と同じように学ぶことや人に触れることに意欲を持って来ているのだなというのがあらためて実感でき、年長者の学習意欲について認識を新たにすることができた。
 なお、このお二方、中学卒業後、高校の通信課程に進学することが決まった。人の純粋な向上心に触れると気持ちが澄んでくるような気がして、爽快感が残った。また教育について比較的恵まれた立場にいられたことについて、感謝しなければならないなとも思った。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『こんばんは(映画)』
竹林軒出張所『本当は学びたい(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『みんなの学校(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『高校中退(本)』
竹林軒出張所『私たちの未来を救って!(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『瓦と砂金 働く子供たちの13年後(ドキュメンタリー)』

by chikurinken | 2014-06-07 07:44 | ドキュメンタリー
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