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竹林軒出張所

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『俺のダンディズム』(1)〜(3)(ドラマ)

俺のダンディズム(2014年・テレビ東京)
演出:石井辰之助
脚本:堀田延、濱谷晃一
出演:滝藤賢一、森口瑤子、大方斐紗子、石橋杏奈、 前川泰之、パンツェッタ・ジローラモ

ドラマと呼ぶにはちょっと抵抗があるが

『俺のダンディズム』(1)〜(3)(ドラマ)_b0189364_8283886.jpg テレビ東京の深夜枠と言えば、前に紹介した『YOUは何しに日本へ?』(現在ゴールデンタイムに移動)や『解禁! 暴露ナイト』(現在『〜裏ネタワイド〜DEEPナイト』に模様替え)など、ちょっとした充実ぶりを見せているが、最近登場した『俺のダンディズム』という番組もなかなかあなどれない。
 主人公の会社員、段田一郎(滝藤賢一)が、「ダンディ」になるためにさまざまなダンディ・グッズを手に入れるという内容のドラマで、確かに実質的にはドラマなんだが、どちらかというとコントのノリ。あちこちくすぐりが散りばめられている。しかも内容から想像できるようにモノが前面に押し出されるため、メインの部分は名品紹介で、『モノ・マガジン』などのカタログ雑誌を連想させる。それもそのはず『モノ・マガジン』と『MEN'S EX』が監修ときている。
 扱われたダンディ・グッズは、第1話が時計、第2話が万年筆、第3話が靴で、いかにも『モノ・マガジン』風なラインアップと言える。僕自身は万年筆の第2話をたまたま目にしてこの番組に興味を持ったんだが(その後第1話もオンデマンドで見た)、モノの背景になっている蘊蓄が語られるんで、たとえそれが興味のないモノであっても十分楽しめる内容になる。
 先ほども言ったように、ドラマ自体は少しコント的な匂いがするもので、間の面白さやとぼけた味わいがある。主人公、段田の冴えない中年男らしい言動も非常に面白いが、少しバカバカしいほどの大げさなセリフが生真面目に語られたりして、そういうのもあわせて見所である。また(コントではなく)純粋なドラマとして考えても、完成度が高く質が高いのは変わらない。マダムMの女主人(森口瑤子)や店員(大方斐紗子)、マドンナ女子社員(石橋杏奈)もそれぞれ良い味を出している。
 主人公の段田だが、バッグと財布がいかにも貧相で「冴えない中年男の持ち物」然としているため、第5話以降のテーマは「バッグ」、「財布」と続くんじゃないかと思う(第4話は手帳)。各回の最後は、マドンナ女子社員がストーカーにつきまとわれているような不気味なエピソードで唐突に終わるが(今のところ各回の内容とまったく関係ないシーン)、これもこの後ストーリー展開に大きな意味を持ってくることが予想される。おそらく段田が、見栄えだけでなく本物のダンディに生まれ変わってこれに対処するみたいな話になるんじゃないかと思われるが、当然ながら詳しいことはよくわからない。
 ともかく今のテレビ東京の深夜枠は、1990年代のフジテレビの深夜枠に匹敵するほどの充実ぶりである。これだけは間違いない。
★★★★

参考:
竹林軒出張所『俺のダンディズム (4)〜(12)(ドラマ)』
竹林軒出張所『アドリブの相乗効果 - 「YOUは何しに日本へ?」が面白い』
竹林軒出張所『「日本世間噺体系」テレビ版』
竹林軒出張所『ラジカセ(ドラマ)』
by chikurinken | 2014-05-03 08:30 | ドラマ
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