日曜劇場 風前の灯(1974年・TBS)
演出:宮武昭夫
原作:木下惠介
脚本:山田太一
音楽:木下忠司
出演:毛利菊枝、樫山文枝、福田豊士、坂上忍、藤岡琢也、尾藤イサオ、伊藤敏孝、頭師佳孝、青柳美枝子、鶴間エリ、森本レオ、堀内正美
やけに騒々しいドラマ これも山田太一脚本の『東芝日曜劇場』で、原作は木下恵介。
小金を貯めている婆さん(毛利菊枝)のもとに、その金を狙った親戚の男(藤岡琢也)が忍び寄るというストーリー。他にもその婆さんの金を狙う若者の泥棒予備軍(尾藤イサオ、伊藤敏孝、頭師佳孝)や、仲介料を狙って彼らの家の貸間に若い男(堀内正美)を入居させようとする親戚の女(青柳美枝子)まで出てきて、渦巻く欲が少々不快である。
こういう金目当ての登場人物以外にも、婆さんと同居する息子夫婦(福田豊士、樫山文枝)の他、2階の貸間に住んでいるが追い出される若い女(鶴間エリ)、その恋人(森本レオ)まで出てきて、45分のドラマなのに登場人物がやけに多い。そういうこともあって全体的にガサガサ騒がしいドラマで、ちょっと詰め込みすぎじゃないかという印象も受ける。強盗や泥棒が出てきたりするのもどこか戯画的で、アマチュア劇団の舞台のような安直なストーリーである。しっかり作られてはいるが、だからといってあまり面白味は感じなかった。
挿入音楽はドラマの『水戸黄門』風で、これは音楽担当が同じ木下忠司であるため。坂上忍が子役で出ていて、藤岡琢也と絡むシーンが多かったが、このときは潔癖症じゃなかったのか少々気になる。いずれにしても、とりたててどうこういうドラマではないのは確かで、並みの水準の『日曜劇場』であると言える。
★★★参考:
竹林軒出張所『日曜劇場 縁結び(ドラマ)』竹林軒出張所『日曜劇場 秘密(ドラマ)』竹林軒出張所『山田太一のドラマ、5本』竹林軒出張所『続・山田太一のドラマ、5本』竹林軒出張所『悪妻行進曲(ドラマ)』