季節風
(1977年・松竹)
監督:斎藤耕一
脚本:長野洋
出演:野口五郎、大竹しのぶ、田中邦衛、宇佐美恵子、加藤治子、新克利、中条静夫、中村敦夫
野口五郎ファン御用達
歌手の野口五郎が主演した映画の第2作目。第1作目の『再会』は斉藤耕一風の作風で、作品のデキはともかく野口五郎をうまく活かしていたという印象だったが、この『季節風』はもう純粋にアイドル映画になってしまっている。本当にもう全編、野口五郎のプロモーション映像みたいな作品で、ストーリーもとってつけたような面白味のない話になった。ありきたりなエピソードをつなげて1本のお話しにしましたというようなストーリーでかなり辟易する。もう序盤からすっかり退屈してしまった。この頃、斉藤耕一は男性アイドル映画を立て続けに撮っていたようで、少々日和見気味な印象も受ける。まあ
『津軽じょんがら節』あたりがピークだったのかなとそんな風にも思える。
野口五郎の歌は劇中で2回流れる(フルコーラスの「季節風」と「感情曲線」)。音楽も東海林修が担当ということで、当時の野口五郎の歌を思わせるような雰囲気を漂わせる。結局どう転んでも野口五郎の映画ということになる。
残念ながら、野口五郎のファン以外はどう楽しんで良いのかわからなくなるような凡作になってしまった。
★★☆参考:
竹林軒出張所『津軽じょんがら節(映画)』--------------------------
以下は、以前のブログで紹介した『再会』の評の再録。
(旧ブログ2006年9月11日の記事より)
再会
(1975年・松竹)
監督:斉藤耕一
脚本:斎藤耕一、仲倉重郎
出演:野口五郎、江波杏子、池辺良、角ゆり子、佐藤英夫

若き日の野口五郎が主演で、アイドル映画かと思いきや、斉藤耕一流の、見てて重くなるような映画だった。そんなわけで、この頃の斉藤耕一の映画、『旅の重さ』、『約束』、『津軽じょんがら節』などと雰囲気や影像が非常によく似ていた。野口五郎は『津軽じょんがら節』の織田あきらみたいな存在感を見せており、ベテラン俳優と丁々発止と渡り合っていた。
ただ、ストーリー的に少し無理があるような気もする。(少し前の)シナリオの新人賞の受賞作みたいなストーリーであった。ともかく重かった。
★★☆