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竹林軒出張所

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『あんな「お客」も神様なんすか?』(本)

『あんな「お客」も神様なんすか?』(本)_b0189364_10225159.jpgあんな「お客(クソヤロー)」も神様なんすか?
「クレーマーに潰される!」と思った時に読む本

菊原智明著
光文社新書

発想の転換で
クレームに対するストレスを軽減


 元住宅メーカーの営業担当者で、現在営業コンサルタントの著者が説く、顧客からのクレームに対する心構え。タイトルの『あんな「お客」も神様なんすか?』の「お客」の部分には「クソヤロー」という読みがなが振られているが、この言葉、営業担当のときに元後輩が口にした言葉なんだそうだ。キャッチーなタイトルで思わず目を引かれたが、この著者には他にも『人は上司になるとバカになる』というものもあり、コピーライターとしてもなかなかのものである(本人自身がつけたタイトルかどうかはわからないが)。
 さて内容であるが、住宅メーカーで営業をやっていたときの経験から、クレームをストレスに感じて押しつぶされるのではなく、クレームを顧客からの要望のサインと考え、原因を究明し丁寧に対処することで、顧客の満足度を上げるだけでなく、自分の成長を助けることにもつながるということを主張するもの。実際著者は、メーカー勤務時クレームに汲々として業績が上がらないダメ社員だったが、その後この方法で発想を転換することにより、トップ営業マンになったという経歴を持つらしい。
 第1章でケーススタディとして8件の(実際の)事例を紹介し、第2章でクレームに対する発想の転換のすすめを説く。ここまでがおそらく柱の部分で、最後の第3章では、顧客に対して、他の顧客から受けたクレームを伝えることで信用を獲得するという究極の方法を紹介している。どれも納得できるようなもので、なるほどと思う。要は、顧客に誠意を持って対応するのが営業成績を上げるコツということらしい。ごもっともである。
 ただ少し気になるのは、紹介されているクレームが、たしかにクレームなんだが、ゆすりたかりに近いような悪質なクレーム(世間でクレーマーと呼ばれるような人間によるクレーム)がないという点で、そういう悪質クレームの対処法を期待して読んだ僕はちょっと取り残されたような気になった。本書で紹介されているクレームもたしかにクレームを受ける当人にしてみれば厄介なんだろうが、タイトルに「クレーマー」と入れるのはいかがなものかと思う。もちろん、それで本書の価値が損なわれることはなく、顧客に対応する仕事をする人にはそれなりにヒントになる本ではある。営業マンでない僕のような(顧客側の)立場からすると、すべての営業マンが本書のように誠実に対応してくれれば良いなと思う。間違いない。
★★★☆
by chikurinken | 2014-01-24 10:25 |
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