ブログトップ | ログイン

竹林軒出張所

chikrinken.exblog.jp

『よみがえる江戸城』(ドキュメンタリー)

ザ・プレミアム よみがえる江戸城
(2013年・NHK)
NHK-BSプレミアム

冗長な正月番組にするにはもったいない素材

『よみがえる江戸城』(ドキュメンタリー)_b0189364_8212575.jpg 江戸城の本丸御殿をCGで復元して披露しようという企画。CGの復元には5年の歳月がかかったという。
 お正月番組だったこともあり、全体的におめでたい雰囲気で、だらだらと2時間半にわたって進行する。CGは割合よくできていてそれなりに面白いが、高橋克実がツアーコンダクターになって内部を案内するという見せ方がいただけない。非常に冗長で無駄な演出である。
 CGは、残されている図面を詳細に検討した上で作られたということで、割合しっかりしたものになっている。また襖絵も、現在残されている下絵から再現したと言うことで、こちらもある程度信頼できそうである。何より、江戸城の天守閣が早々に消失してしまい、事実上本丸御殿が江戸城の中心になっていたというのは今回初耳で、そう考えると江戸城は純粋に政務機関だったと考えても良さそうである。
 大広間や松の廊下を紹介するくだりでは、それぞれ関連するエピソードが示され、当時の風習や作りなども詳細に紹介されてまあ楽しめるが、考証が少々眉唾な印象もある。デタラメではないんだろうが、たとえば松の廊下は実際は暗かったなどと言われても、合理性に欠けているんでにわかに信じられない。番組の解説では、松の廊下は、図面から推察すると板戸で覆われていたと考えられるため外光が入らず暗かったはずと言うが、暗くする必然性がなければ、明かりを入れる方が合理的な気がする。そうすると考証の方をもう一度検討し直すべきではないかと感じたりするんだがどうだろう。
 こういう感じで随所に中途半端さが残る番組作りで、いっそのことCGを素材に江戸城の機能を丁寧に紹介するというストレートな展開のドキュメンタリーにした方が番組として良いものになったんじゃないかと思う。どこかで正月向けのバラエティ番組にしたいという意向が働いていたようだが、こういう風に処理してしまったため、せっかくの素材が無駄になったような気もする。
★★★

参考:
竹林軒出張所『京都御所(ドキュメンタリー)』
by chikurinken | 2014-01-21 08:21 | ドキュメンタリー
<< 『キング牧師とワシントン大行進... 『スモール・アクト』(ドキュメ... >>