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竹林軒出張所

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『コールド・ケース "JFK"』(ドキュメンタリー)

コールド・ケース "JFK" 〜暗殺の真相に迫る〜
(2013年・米Lone Wolf Media / WGBH)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー

ケネディ暗殺を最新技術で分析

『コールド・ケース \"JFK\"』(ドキュメンタリー)_b0189364_8503550.jpg ジョン・F・ケネディ元アメリカ大統領が暗殺されて50年……ということで、NHK-BSでいろいろなケネディ関連ドキュメンタリーが放送された。どれも面白かったが、このドキュメンタリーも出色であった。
 ケネディ暗殺については、犯人のオズワルドが逮捕された後に殺害されたこともあり、これまでCIAからソ連までさまざまな陰謀説が飛びかってきた。捜査当局は、オズワルドの単独犯(陰謀によるものではない)ということでいったん結論を下したが、70年代になって、ケネディ暗殺時の8mm映像が一般公開されたことで、ふたたび陰謀説が大きくなる。というのも、元々ケネディには弾丸が2発当たっているんだが(頸部と頭部)、8mm映像によると弾丸が飛んできた方向が2方向に見えるためである。2方向であれば複数人の犯行ということになるため、何らかの組織的な動きが関与したんではないかと考えられるわけである。そしてそれに対するさまざまな憶測が今までずっと続いているのが現状である。
 で、捜査時に残された証拠を含むさまざまな痕跡を再検討し、場合によっては実弾を使って実験することで、ことの真相を明らかにしようとする試みが、このドキュメンタリーなんである。
 このドキュメンタリーでは3Dスキャンなど最新技術を駆使したさまざまな方法で検討するんだが、最終的に到達した結論は、「2発の弾丸は同じ方向から飛んできた可能性が高い」というもので、単独犯説に有利なものである。特に8mm映像で、前方から大統領の頭部に弾丸が当たったように見えるシーンについての検討はなかなか圧巻で、弾丸が頭蓋骨に当たったとき頭蓋骨にどのようなひびが入るか、頭の内部がどのように反応するかまで検証して結論を出していたが、非常に説得力があった。
 もちろんケネディ暗殺に何らかの陰謀が関与した可能性は否定できないが、少なくとも2方向からの狙撃であるという論拠はなくなったと言える。なかなか画期的な検証で、番組も推理ドキュメンタリーとして非常に面白く仕上がっていた。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『未解決事件File08 JFK暗殺(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『もうひとつのアメリカ史(5)〜(7)(ドキュメンタリー)』
by chikurinken | 2013-12-07 08:50 | ドキュメンタリー
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