椿姫(1937年・米)
監督:ジョージ・キューカー
原作:アレクサンドル・デュマ・フィス
脚本:ゾー・エイキンス、フランセス・マリオン、ジェームズ・ヒルトン
出演:グレタ・ガルボ、ロバート・テイラー、ライオネル・バリモア、エリザベス・アラン
『椿姫』はこういうストーリーだったのかと
あらためて認識 ハリウッド映画版の『椿姫』。椿姫(この映画ではマルグリット)を演じるのはグレタ・ガルボで、相手役(この映画ではアルマン)を演じるのはロバート・テイラー。
昨日見たオペラ版だと人間関係やストーリーが茫洋としていたが、この映画では背景から丁寧に端折らずに描かれているため、主演の二人の関係や、恋敵の男爵との関係も非常によくわかった。また、それぞれの登場人物も実によくはまっていて、ドラマとしてよくできていた。
主演のグレタ・ガルボも好演で、瀕死のときは瀕死の状態をしっかり演じていた……当たり前だが(オペラでは必ずしもそうじゃないんだな)。いずれにしてもオペラ版よりもはるかにできが良いという印象である。オペラ版のあの端折り方は、よくよく考えるとちょっと異常だと思う。あれでは内容がしっかり把握できない。
とはいっても、普通のハリウッド映画のレベルを超えるものでないのも確か。美術や衣装は非常にゴージャスで物足りなさはないが、でもやっぱり、ハリウッド映画の古典翻案メロドラマの域を超えていないという印象もある。面白いけどなんか物足りないという感覚は、残念ながら最後まで残ったのだった。
★★★参考:
竹林軒出張所『ヴェルディ 歌劇「椿姫」(DVD)』竹林軒出張所『グランド・ホテル(映画)』竹林軒出張所『ニノチカ(映画)』竹林軒出張所『日曜劇場 ぼくの椿姫(ドラマ)』