レッツラ*ゴン 赤塚不二夫名作選4
赤塚不二夫著
小学館文庫
赤塚不二夫がもっとも愛したマンガ
ナンセンス・マンガの頂点
赤塚不二夫が自身の作品の中でもっとも愛していたと言われているマンガ。当時の担当編集者の話(本書巻末の「寄稿エッセイ」)によると「『おそ松くん』のユーモアが『天才バカボン』でナンセンスに近づき、『レッツラゴン』でシュールに発展した。これは、オレの目指していた世界だった」と赤塚不二夫が生前語っていたらしい。連載されたのは『少年サンデー』で、1972〜74年頃である。僕はリアルタイムで読んでいたが、あまりのバカバカしさに笑いが止まらなかったことがある。当時かなりのお気に入りマンガだったこともあって、セリフをいまだに憶えているものもある。
この『レッツラゴン』、赤塚自身の評価にかかわらず、単行本はずっと絶版状態だった。復刊ドットコムで最近復刊されたようで、その波に乗ったのか知らないが小学館から「赤塚不二夫名作選」と名うって文庫で登場した。と言っても元々は2005年に発売されたもので、僕が今回買ったのは2012年に出た第3刷である。要するにこの増刷が復刊ドットコムを意識したのかなということ。
内容はと言えば、かつて連載したものから19本を選んで収録した選集で、残念ながら子どもの頃大笑いした「ざまあミル貝」の回は入っていなかった。復刊ドットコムの方を読めってことか。ただ今回、40年ぶりに読んでみたこの『レッツラゴン』、さすがにこちらが成長したせいか、懐かしさ以外大した感慨がない……というかくだらない。笑いがあまりにくだらない、ナンセンスにもほどがあるというような内容で、あらためて買って読もうという気にならない。この1冊でもう十分である。まあ小中学生が読んだら笑えるかもしれないが、さすがにこの年ではこの内容を楽しむことはできない。ましかし、これをマンガ雑誌で展開したというのはすごいっちゃぁすごい。赤塚不二夫が言うように、ここに極まれりという感じではある。この『レッツラゴン』以降、赤塚不二夫のマンガはだんだん絵が荒れていってちょっと読むに耐えなくなったと記憶している。アル中がひどくなったんじゃないかと思う。そういう意味で、このマンガ、赤塚ナンセンス・マンガの頂点、またはピークと言っても良いかもしれない。
★★☆参考:
竹林軒出張所『もーれつア太郎 (1)(アニメ)』竹林軒出張所『天才バカボン (1)(アニメ)』竹林軒出張所『ゲゲゲの娘、レレレの娘、らららの娘(本)』竹林軒出張所『まんが トキワ荘物語(本)』竹林軒出張所『トキワ荘青春日記―いつも隣に仲間がいた…(本)』竹林軒出張所『トキワ荘の青春(映画)』