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竹林軒出張所

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『アメリ』(映画)

アメリ(2001年・仏)
監督:ジャン=ピエール・ジュネ
脚本:ジャン=ピエール・ジュネ、ギョーム・ローラン
撮影:ブリュノ・デルボネル
特殊効果:イヴ・ドマンジュー
衣装デザイン:マデリーン・フォンテーヌ
音楽:ヤン・ティルセン
出演:オドレイ・トトゥ、マチュー・カソヴィッツ、ヨランド・モロー、ジャメル・ドゥブーズ、イザベル・ナンティ、ドミニク・ピノン

おもちゃ箱みたいな楽しさ
まさに映画の「新しい波」


『アメリ』(映画)_b0189364_5572360.jpg 人と接するのが異常に苦手な年頃の女性、アメリの周辺で起こる出来事、そしてアメリが起こすさまざまな出来事の話。基本はアメリの成長譚で、恋愛映画の範疇に入る。
 人物設定は少しややこしく、ストーリーも少しもつれていてやや複雑。さらに、次々に繰り出されるエピソードも斬新で奇想天外。であるため、見ていて飽きるなどということがなく、正直めまぐるしく話が推移するので、ついていくのがやっとという面もある。演出もアニメやコミックみたいな要素を意図的に入れていて斬新でなおかつ洗練されている。音楽や美術、衣装も水準が高く、よくこれだけいろいろなものを高い水準で集めたものだと感心する。中でも一番斬新だったのは撮影で、やたら動き回るカメラが意外性のある絵を生み出していて、あるシーンでは気分を高揚させる働きを果たし、別のシーンでは官能的な絵作りもある(エロシーン以外に)。意図が明確で外れがないので、見ていてとても心地良い。非常に感心した。
 とにかく何度も言うがいろいろな面が斬新で、今までの映画表現と少し違った新しい次元に進んているような印象すら持った。この映画が1つのエポックになっているような気さえする。前に見たときも表現の仕方やエピソードに感心したが、今回はそれを上回る発見があった。ちなみに今回、1回見た後、翌日にもう1回見たんで計3回見たことになる。ストーリー展開が少しだけまとまりがなかった部分があったが、それ以外はもう言うことがない。これだけお客を喜ばせてくれる映画に文句を言えるはずもない。
 僕がこの映画で特に「好きなもの」は「いろんな登場人物の好きなものと嫌いなものが表明されること」や「小人の人形が世界を旅するエピソード」。それから「アメリの素敵な表情」。アメリを演じるのはオドレイ・トトゥ。この映画が出世作で、今や大女優と言える。ココ・シャネルも魅力的だった(竹林軒出張所『ココ・アヴァン・シャネル(映画)』参照)。
2001年セザール賞作品賞、監督賞、音楽賞、美術賞受賞
★★★★

参考:
竹林軒出張所『ココ・アヴァン・シャネル(映画)』
竹林軒出張所『ムッシュ・カステラの恋(映画)』

by chikurinken | 2013-10-18 05:58 | 映画
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