ここ2日間、パトリス・ルコント作品を紹介したが、ルコントはちょっと気になる映画監督で、他の作品も過去いくつか見ている。ただし、内容については憶えていないものが多い。ストーリーの映画というより、映像や雰囲気の映画であるためか。男の願望が映像になったというような作品が多く、よくよく考えると「刹那的な」作品が多いようにも思う。その辺も記憶にない理由かも知れない。
下の『フェリックスとローラ』に至っては、見たことすら憶えていなかった。前のブログで記録に残していたからわかったという有様で、あらためて記録に残すことの大切さを痛感した。というわけで、あらためて(こちらの)記録に残しておこうという意図がここでまたしても働いたわけだ。
この2本は、いずれまた見なおしたいと思っている。特に『仕立て屋の恋』のところで書いている「最後の方の例のショッキングなシーン」が非常に気になる……。これも憶えていないんだな。情けないったらありゃしない。
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(2006年12月24日の記事より)
仕立て屋の恋(1989年・仏)
監督:パトリス・ルコント
原作:ジョルジュ・シムノン
脚本:パトリス・ルコント、
パトリック・ドゥヴォルフ
出演:ミシェル・ブラン、サンドリーヌ・ボネール、リュック・テュイリエ、アンドレ・ウィルム

異色の恋愛映画。これを恋愛映画と言って良いのかはよくわからないが。だが恋愛の機微などはうまく描かれている。
見た後に虚脱感が残るような映画で、ちょっとロベール・アンリコの
『ふくろうの河』を彷彿とさせる。映像は少し薄気味悪いが、同時に美しくもある。
ストーリーの作り手は、おそらく最後の方の例のショッキングなシーンから発想したんじゃないかと思う(僕も同様の話は聞いたことがあった)が、これだけの話に仕立てたのはなかなかの技量である。まさにドラマ界の仕立て屋!
最近、ルコント作品をはじめとするフランス映画をよく見るが、ここ15年くらいのフランス映画は非常に洗練されていて、しかもエレガンスが漂う素敵な作品が多いように思う。恋愛映画は元々あまり好きではないのだが、ここらあたりの恋愛映画は違和感なく見ることができる。そう言えば『ふくろうの河』もフランス映画だ(こちらは恋愛映画ではありません)。
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(2006年12月13日の記事より)
フェリックスとローラ(2000年・仏)
監督:パトリス・ルコント
脚本:クロード・クロッツ、パトリス・ルコント
出演:シャルロット・ゲンズブール、フィリップ・トレトン、アラン・バシュング

恋愛ドラマだが、さすがはルコント、一筋縄ではいかない。なかなかミステリアスに話が進行していく。精神的に少し緊張感を強いられるが、それでも話は淡々と進む。
シャルロット・ゲンズブールのメークがスゴイ(サイレント映画の登場人物のようにシルエットを強調したかったらしい)が、時折見せる笑顔がなかなか魅力的。劇中でも「笑顔が良い」と周りに言われているが……。
恋愛ドラマを見たくてこの映画を見たのだが、期待していた方向性とは少し違っていた。それでも十分見応えがある佳作であった。
★★★☆参考:
竹林軒出張所『フェリックスとローラ』(映画)』竹林軒出張所『髪結いの亭主(映画)』竹林軒出張所『親密すぎるうちあけ話(映画)』竹林軒出張所『橋の上の娘(映画)』竹林軒出張所『暮れ逢い(映画)』竹林軒出張所『歓楽通り(映画)』竹林軒出張所『ぼくの大切なともだち(映画)』竹林軒出張所『イヴォンヌの香り(映画)』竹林軒出張所『ふくろうの河(映画)』