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竹林軒出張所

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『好色一代男』(映画)

好色一代男(1961年・大映)
監督:増村保造
原作:井原西鶴
美術:西岡善信
出演:市川雷蔵、若尾文子、中村玉緒、船越英二、水谷良重、近藤美恵子、中村鴈治郎

豪華な食材を集めはしたが
砂糖だけで味付けしてしまった


b0189364_7525714.jpg 井原西鶴の『好色一代男』を映画化したものということだが、原作の味がどの程度活かされているのかはわからない。ストーリーはある程度踏襲されているようだが、きわめてご都合主義的でつまらない。いっそのこと、ディテールの部分を再現してくれたらまだ面白くなったかもしれないが、少なくともこの映画にはあまり見るべきところはなかった。
 唯一の救いはセットであり、すごく豪華である。これは今どきのドラマや映画ではなかなか再現できないもので、当時の映画界の威勢を感じさせる。だが演出はいただけない。何が問題なのかはにわかにわからないが、随所にへまな箇所が出てきて、見ているとなんだか気分が重くなる。監督は増村保造で、この人が監督した『青空娘』なんかを見ていると、後の大映テレビ(いわゆる大映ドラマ)の臭い演出を思い出すほどで、この人が大映ドラマの(臭い演出の)基盤を作ったんじゃないかと感じてしまう(実際、映画監督を辞めた後も大映ドラマに関わっていたようだ)。
 いずれにしてもこの映画、美術もキャストも贅沢だが、どうにも食えない映画になってしまっている。アマゾンをはじめ、あちこちで絶賛する向きがあるんで今回この映画を見てみたんだが、僕の感覚からいけば肯定できるような箇所がほとんどない映画で、アマゾンの批評は少なくとも映画についてはあてにならないなということを思い知らされた。先の『青空娘』もアマゾンで絶賛されていたんで借りて見てみたんだが、こちらはもう苦笑するしかないような脚本、演出で、こういう映画が賞賛されていること自体まったく納得がいかない。
★★☆

参考:
竹林軒出張所『お伽草紙・新釈諸国噺(本)』
竹林軒出張所『好色五人女 マンガ日本の古典24(本)』
竹林軒出張所『華岡青洲の妻(映画)』
竹林軒出張所『陸軍中野学校(映画)』
竹林軒出張所『巨人と玩具(映画)』
竹林軒出張所『痴人の愛(映画)』
竹林軒出張所『卍(映画)』
竹林軒出張所『氾濫(映画)』
竹林軒出張所『兵隊やくざ(映画)』
竹林軒出張所『妻は告白する(映画)』

by chikurinken | 2013-09-21 07:55 | 映画
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