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竹林軒出張所

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『かすていら』(1)〜(5)(ドラマ)

b0189364_92972.jpgかすていら(2013年・NHK)
演出:吉村芳之
原作:さだまさし
脚本:羽原大介
出演:遠藤憲一、西田尚美、大八木凱斗、坂口湧久、新井美羽、佐々木すみ江、金子賢、今井雅之、円城寺あや

さだまさしの父ちゃんすごすぎ

 これも原作はさだまさしの自伝小説。さだまさしの少年期が描かれるドラマで、戦後間もない昭和の貧しい社会が舞台である。
 さだまさしらしく家族への愛が随所に語られ、特に父との関係がこの話の中心になる。出てくるエピソードは、小説『精霊流し』に出て来たものもあって使い回しの感もあるが、しかしこれまで断片的だったエピソードが時系列で語られているため、エピソードに繋がりが出て来て分かりやすくなっている。
 今回のドラマはNHK-BSプレミアムで全5回で放送されたもので、第1回が貧乏への転落、第2回が祖母の死プラス父とチンピラの対決、第3回がバラの花のエピソード、第4回が失業中の父の奮闘、第5回が主人公の東京への旅立ちがそれぞれモチーフになっている。子どもがヴァイオリンをやっていたり、父があまりに破天荒だったりで少々特殊な家庭であるのは確かだが、それでも家の貧しさや肩寄せ合って生きているような感覚は当時の一般的な家庭と共通で、個人的に懐かしさも感じる。それに子どもが妙に明るいのも共通で、やたら出てくる「シェーッ」が時代を反映していて楽しい。第1回目に出てきた「シェーッ」三連発や、第2回目の物陰での子どもたちの「バンザイ」三唱など、随所に見ていて楽しい気分になる演出が散りばめられている。ホームドラマではあるが、時代性がよく表現されている上、それぞれの登場人物にも魅力があって侮れないドラマに仕上がっていた。久しぶりに毎回定時に見ようと思ったドラマだった。
 昨今ではなんだか作り物っぽくしかも作り手のイマジネーションも貧困なつまらないドラマが多いが、このドラマは、作りがしっかりしているだけでなく、自分の幼少時代となんとなく重なる雰囲気もあってとても感慨深かった。このドラマみたいにしっかりした題材をしっかりした演出で作ったドラマがもう少し増えてくれるともっと楽しくなるんだがなーと思う。久々のクリーンヒットだった。
★★★★

参考:
竹林軒出張所『精霊流し(本)』
竹林軒出張所『ちゃんぽん食べたか (1)〜(9)(ドラマ)』
竹林軒出張所『眉山(映画)』
竹林軒出張所『アントキノイノチ(映画)』
by chikurinken | 2013-08-06 09:02 | ドラマ
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