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竹林軒出張所

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『サルバドル 遥かなる日々』(映画)

b0189364_832387.jpgサルバドル 遥かなる日々(1986年・米)
監督:オリバー・ストーン
原作:リチャード・ボイル
脚本:オリバー・ストーン、リチャード・ボイル
出演:ジェームズ・ウッズ、ジェームズ・ベルーシ、ジョン・サヴェージ、エルピディア・カリーロ、トニー・プラナ

らしさ爆発、オリバー・ストーン

 オリバー・ストーンの出世作となった映画で、エルサルバドル内戦をミクロ的な視点で描く。原作というか元になったのは、戦場カメラマン、リチャード・ボイルの手記で、それをオリバー・ストーンがたまたま出版前に見つけ映画化した。
 「内戦」という言葉を聞いても一般的には大した情感も湧かないが、しかしこうして住民目線で描かれると、その残虐さがよく伝わってくる。一般人がごく当たり前のように殺害され、そして殺害を煽る勢力も登場して、見ていて気分が悪くなる。全編、主人公およびその周辺の人が命の危険にさらされているため、最初から最後まで緊張感が持続して、あまり愉快な映画ではない。もちろんそれが現実の反映になっているわけで、映画としての価値が十分あることは疑いない。実際、この映画がきっかけになって、アメリカのエルサルバドルへの介入(一般人の殺害を繰り返していた右翼勢力への支援)が中止されることになったという。表面をたどっただけの単純なニュースよりも、映画の方が大きな力を持ったという実例である。
 撮影は、エルサルバドルの右翼政権の協力もあって、軍の支援を得られたということで、非常に迫力のある映像が随所に出てくる。ただ「右翼政権の協力」については、反体制派を非難する映画と偽り、当局をだまくらかしてのものだったそうで、オリバー・ストーン、なかなかしたたかである。撮影の多くはメキシコで行われていたそうだが、それでも危険が相当伴うものだったそうで、主演のジェームズ・ウッズが身の危険を感じて逃亡したこともあったらしい。また、ウッズは、リチャード・ボイルというウッズと正反対の下品でずぼらな人間を演じたため、大変ストレスがたまったらしい。スタッフもキャストも相当な犠牲を払って(しかも予算も途中で底をついたらしい)の撮影だったようだが、その後世間で大きな評価を集めて報われたのは何よりだった。
 「猿の脇役だった男が大統領だって」(ロナルド・レーガンのこと)などといったオリバー・ストーンらしい皮肉に満ちたセリフも面白い。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『ウォール街(映画)』
竹林軒出張所『アレキサンダー(映画)』
竹林軒出張所『もうひとつのアメリカ史(1)〜(4)(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『もうひとつのアメリカ史(5)〜(7)(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『もうひとつのアメリカ史(8)〜(10)(ドキュメンタリー)』
by chikurinken | 2013-07-08 08:04 | 映画
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