ポテチを異常に食べる人たち
ソフトドラッグ化する食品の真実
幕内秀夫著
WAVE出版
「スナック菓子=ドラッグ」という説が新鮮 さまざまな依存症が蔓延している現代、なんとポテトチップスなどのスナック菓子にまで依存している人々がいるらしい。つまりポテチ依存症である。管理栄養士の著者が、こういった事態について警鐘を鳴らすのがこの本。
スナック菓子は、甘味、うま味、脂肪、塩味(著者はこれを「うまみカルテット」と呼ぶ)という、人間が本来好む味覚をすべて兼ね備えており、そのために快感を得やすい食べ物だという。しかも、一般的な食品と異なり、こういった要素のエッセンスが凝縮されているため、その刺激は非常に強烈で、ドラッグなどと同様の快感を得ることができるのだという。つまり、こういうスナック菓子はその性質上、依存症の対象になりやすいものだというのだ。
こういう類の依存症は、ストレスが多く、しかも残業などで夕食を満足にとれないような働き方がそもそもの原因であると著者は言う。このような生活をしていると、残業のときに小腹が空いたからといってスナック菓子に手を伸ばし、結果、夕食をとらないという食生活に陥りやすい。空きっ腹で取り込むドラッグはますます強烈に作用するために、この結果依存症への道まっしぐらということになる。本書では、数人のケースが紹介されていて、中には、大量にスナック菓子を食べてから強烈な自己嫌悪に陥る人もいる。著者は、自己嫌悪に陥るぐらいなら、依存している状態を本人自身が一定程度容認すべきだと考えている。生活に支障を来さない範囲でポテチへの依存状態とつきあうつもりで、最低限、三度の食事はご飯でしっかりとるように推奨している。こうすることによって、依存症の状態から良い関係の依存状態に移すことが解決につながるという。
同時に、そもそもこういった食べ物自体が依存しやすいドラッグみたいなものなのだから、少なくとも子どもにはなるべく与えないようにすべきだと主張する。スナック菓子は大人の手軽(かつ安価)なドラッグという地位に安住させるべきであり、そのことを、子どもを持つ人々は自覚すべきだというのが本書の主張。とにかく三度の食事でご飯をしっかり食べることが健全な状態に戻す第一歩で、それが、脂肪を多く含んだ食生活を見直すきっかけになるらしい。
僕個人は割と質素な生活で毎食ご飯もがっつり食べているので、著者の主張に100%賛同するが、こういう見方は世間的にはあまり受け入れられないのかも知れない(著者もそれについて終わりの方で触れているが)。個人的には、スナック菓子をドラッグと見なすという視点が非常に新鮮で、今後は積極的に敬遠しようという気になった。
★★★☆参考:
竹林軒出張所『私、パチンコ中毒から復帰しました(本)』竹林軒出張所『実録! あるこーる白書(本)』竹林軒出張所『スマホ依存から脳を守る(本)』竹林軒出張所『スマホ脳(本)』竹林軒出張所『僕らはそれに抵抗できない(本)』