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竹林軒出張所

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『火怨・北の英雄 アテルイ伝』(1)〜(4)(ドラマ)

火怨・北の英雄 アテルイ伝(2013年・NHK)
演出:佐藤峰世、田中英治
原作:高橋克彦
脚本:西岡琢也
出演:大沢たかお、北村一輝、伊藤歩、原田美枝子、高嶋政宏、内田有紀、石黒賢、近藤正臣

英雄伝にしてはもの足りない

b0189364_7421910.jpg 奈良時代末期から平安時代初期、東北地方を支配し、大和朝廷と闘った蝦夷のリーダー、アテルイ(阿弖流爲)の伝記ドラマ。
 アテルイと言えば、同じ原作者による大河ドラマ『炎立つ』にも登場し、そのときは坂上田村麻呂にだまし討ちされて滅ぼされたというような描かれ方だった(と思う)が、今回は一応史書(『続日本紀』と『日本紀略』)に従った内容になっている。
 基本的には、防衛戦争を闘い討ち死にするという内容で、終始侵略される側の視点から描かれる。そういう意味でもなかなか興味深いストーリーである。ではあるが、ドラマとしてのデキについてはもう一つという印象である。全体を通じて、歌舞伎ばりの大げさな絶叫芝居が多く、スケール感も(エキストラが少ないせいか)乏しい。エキストラの中には、奇襲を受けて逃亡するシーンでニヤニヤしている(ように見えた)者までいて、ちゃんと演出したのかはなはだ疑問である。
 キャストは、北村一輝(モレ)が存在感を放っていたのと、近藤正臣(桓武天皇)が嫌らしい役を好演していた以外、とりたててどうということもなかった。一部、ミスキャストに近いキャスティングもあった。
 シナリオもまあ有り体で、中には、ショックのあまりわけがわからない状態になったのに数年して完全に元に戻ったり(しかもその間の記憶はきれいさっぱりなくなっている)というご都合主義的というかプリミティブな安直さも見られる。ドラマを通じてアテルイ周辺の歴史については分かるが、そうは言ってもやはりストーリーにおける内容の乏しさも感じる。創作でも良いから史実と史実の間に明確な連関を設けてほしかったという気もする。『炎立つ』が非常に濃厚で(大河ドラマにしては珍しい)面白いドラマだっただけに、期待が大きかった分、失望感も大きかった。トータルで、可もなく不可もないドラマという印象で終わってしまった。
★★★

参考:
『NHK 火怨・北の英雄 アテルイ伝』ホームページ
竹林軒出張所『炎立つ 総集編 (1)(ドラマ)』
by chikurinken | 2013-07-03 07:43 | ドラマ
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