キッド
(1921年・米)
監督:チャールズ・チャップリン
脚本:チャールズ・チャップリン
音楽:チャールズ・チャップリン
出演:チャールズ・チャップリン、ジャッキー・クーガン、エドナ・パーヴィアンス、カール・ミラー
チャップリンの最初の古典的名作
チャップリン初期〜中期にかけての傑作喜劇。基本的にスラップスティックな笑いの映画だが、笑わせて感動させ泣かせるという娯楽映画の必須要素をすべて兼ね備えた逸品。
棄てられた子どもを育てる貧乏な男の話で、子どもはジャッキー・クーガンが快演。ものすごくけなげで可愛い♡。だがもし今生きていたら百歳で大変な爺ちゃんである(実際には30年前に死去)。この映画の演技が認められたせいか、その後も子役として結構活躍していたようである。共演のエドナ・パーヴィアンスは、初期のチャップリンの作品によく出演している女優で、一時チャップリンと個人的に親密な付き合いがあったらしい。晩年はひどく没落して、チャップリン自身も心を痛めたという(『チャップリン自伝』より)。
チャップリンは相変わらずさまざまなギャグを駆使し、例によって官憲の嫌がらせを受ける。当時の官憲に対する辛辣な視線が感じられるのは、他のチャップリン映画と共通である。スラップスティックがベースでありながら、ペーソスの要素を取り入れ、感動的な作品にまで昇華させたこの映画、まさに古典と呼ぶにふさわしいチャップリンの代表作と言える。
★★★★参考:
竹林軒出張所『チャップリン自伝 ― 若き日々(本)』竹林軒出張所『チャップリン自伝〈下〉栄光の日々(本)』竹林軒出張所『モダン・タイムス(映画)』竹林軒出張所『チャップリンの黄金狂時代(映画)』竹林軒出張所『ニューヨークの王様(映画)』竹林軒出張所『街の灯(映画)』竹林軒出張所『殺人狂時代(映画)』竹林軒出張所『サーカス(映画)』竹林軒出張所『チャップリンの声なき抵抗(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『チャップリン対FBI(ドキュメンタリー)』