いじめを語ろう 〜カナダ ある学校の試み〜
(2012年・加CBC)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー
学校現場の今を捉える
こちらは、カナダでのいじめの事例。いじめ問題に積極的に向き合っている学校(中学&高校に相当すると思われる)の取り組みを取材。
先日のアメリカの事例と違い、こちらは学校側、特に校長がいじめ問題に熱心に取り組んでいる。といってもこれが奏功しているかは疑問であるが、いずれにしても取材班を1週間受け入れようと決断したのは立派。
取材班は、まずインタビュー用のブースを設置して、子どもたちが自由にカメラに向かっていじめについて語れるような環境を作る。同時に、いじめに苦しんでいる子どもたちにも聞き取りを行う。その結果、校内のほとんどの子どもがいじめにあった経験があり、同時にそのうちの多くが他の子どもに対してもいじめをした経験があるという。しかも一部の教師にも過去いじめで苦しんだ時期があることが判明。いじめ問題が非常に根深いものであることが分かる。一方で、いじめの被害と加害の両方の経験を持つ子どもが多かったことから、最終的には、いじめる側の問題に立ち入らなければならないことも明らかになってくる。実際、この学校では、通常であれば退学になっても仕方がないようないじめの常習者を、校長自ら立ち直らせようと奮闘している姿も映し出される。
いじめ問題の解決の難しさを思い知らされると同時に、問題に対して真摯に取り組むことの大切さも伝わってくる番組で、学校現場の真の問題を問題として共有できるようなドキュメンタリーだった。最後は、一時的なものであるにしろ、非常に爽やかな終わり方をしていて、心地よさも残った。もちろん学園ドラマみたいな嘘っぽさはまったくない。
★★★★参考:
竹林軒出張所『いじめの果てに(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『カナダ いじめ撲滅プロジェクトの1年(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『追いつめられて アメリカ いじめの実態(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『いじめを生む教室(本)』