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竹林軒出張所

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『追いつめられて 〜アメリカ いじめの実態〜』(ドキュメンタリー)

追いつめられて 〜アメリカ いじめの実態〜 前編後編
(2011年・米WHERE WE LIVE FILMS)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー

アメリカのいじめも相当ひどい

b0189364_728471.jpg 前にも書いたが、かつて日本では、アメリカには日本のような陰湿ないじめはないと言われていた。このドキュメンタリーで最初に示される統計データによると、アメリカの12〜17歳の子どもたちの3人に1人はいじめを経験しているという。要するに、いじめに関する状況は、日本と大して変わらない。もちろん、それはアメリカだけでなく世界中にあるわけで、いじめの性質や対処法が違いこそすれ、世界中で共通する問題である。
 日本の場合、30年以上前からいじめによる犠牲者がたくさん出て来たこともあって、役所・学校側もそれなりに対応策を練り、世間もいじめについては厳しい視線を向けるようになっている。それでもいまだに問題はなくならず、犠牲者は相変わらず出続けるというのが現状。実際に小学校や中学校の関係者に聞くと、いじめについてはある程度真摯な対策がとられていることは肌で理解できる。自分が小中学校に通っていたときと比べたら雲泥の差と言って良い。方向性としては良い方向に向かっていると個人的には感じている。ただ抜本的な対策が必要であることは変わりなく、子供たちに学校の代替となる場を提供するとか、校内の風通しを良くするとか、そういった対策は今後続けて行かなければならないと思う。
b0189364_7285666.jpg さて、このドキュメンタリーだが、アメリカ中から何件かのいじめのケースを取り上げてレポートする、前後編で90分の番組である。取り上げられる子どもたちは、現在いじめを受けている少年、いじめに耐えられず自ら命を断った少年、これもいじめに耐えられずスクールバス内で銃をかざして脅したために逮捕されて拘禁されている少女、同性愛者であることをカミングアウトしたために同級生だけでなくコミュニティからも排除されている少女など。どれも憂鬱になるような事例だが、どのケースにも共通しているのが学校・行政側の逃げの姿勢と、地域、社会の冷淡な態度である。いじめで犠牲者が出ても、それに対してなかなか対策をとろうとしないというもので、以前の日本の状況によく似ている(アメリカの場合は、教員の地位の低さに由来するのではないかと思う)。そういう点でもアメリカはいじめ対策の後進国であると言える。
 人々の意識を変えようとして運動している、いじめ被害者の父兄の活動も取り上げられており、それに対する周囲の人々の共感もあるが、まだまだ道はほど遠いという感じである。何よりアメリカが被害者や弱者に対して非常に厳しい社会であるという印象を受ける。こういうドキュメンタリーが出て少しでも意識が変わり、良い方向に変わることが望まれる。もちろん日本もそうである。とりあえず、ドロップアウトした子供たちの受け皿くらいは、公共の費用で用意すべきじゃないかと思うが。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『いじめの果てに(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『カナダ いじめ撲滅プロジェクトの1年(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『いじめを語ろう 〜カナダ ある学校の試み〜(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『私たちの未来を救って!(ドキュメンタリー)』
by chikurinken | 2013-06-21 07:29 | ドキュメンタリー
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