ブログトップ | ログイン

竹林軒出張所

chikrinken.exblog.jp

『もうひとつのアメリカ史』(8)〜(10)(ドキュメンタリー)

オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史(2012年・米Showtime)
第8回 レーガンとゴルバチョフ
第9回 “唯一の超大国”アメリカ
第10回 テロの時代 ブッシュからオバマへ
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー

こうして「悪の帝国」は完成した

b0189364_7505677.jpg 映画『プラトーン』や『サルバドル』を監督したオリバー・ストーンが、現代アメリカ史を自身の視点で洗い直そうというドキュメンタリー。オリバー・ストーンが作るドキュメンタリーだけに、当然、アメリカ中心の傲慢な歴史観で描かれるわけもなく、アメリカ政府に不信感を抱く人々にも受け入れられる内容になっている。
 さてこの『もうひとつのアメリカ史』もいよいよ最後の3回。レーガン時代からオバマ政権に至るまでで、アメリカが果てしなく暴走を続ける時代。この頃は僕自身完全に同時代であるため、ほとんど身近な社会情勢として感じたものばかりで、目新しさはあまりない。言ってみれば、既知のできごとに対して別の見方を提示してもらうという感じか。
 第8回はレーガン時代で、カーター時代から反動化して急速に軍拡を進める時代である。元俳優で反共的なロナルド・レーガン元アメリカ大統領、会見やスピーチでもセリフを読むようによどみなく語るんで人気が出たが、(オリバー・ストーンによると)思考能力が欠如していたらしく、行動は著しく情緒的であった。SDI(戦略防衛構想)などという夢物語に飛びつき莫大な金を注ぎ込むという愚行まで起こしている。そうしたときに登場したのがソビエトのゴルバチョフで、こちらは進歩的な考え方を持つ政治家で、核兵器廃絶までレーガン側に提案する。結局レーガン側が受け入れを拒否したことから、核廃絶は叶わなかった(中距離核ミサイルの制限のみ実現)。あげくにイラン・コントラ事件まで発覚し、レーガンはニクソン以来の失職に追い込まれるかというところまでに至ったが、結局うやむやのまま、後を当時副大統領だったブッシュが引き継ぐことになる。ブッシュはブッシュで、反動的な保守政治家を閣僚に入れ、あげくにイラクをだまし討ちして攻撃したり(湾岸戦争)、パナマに大部隊で侵攻したり、やりたい放題。その後の大暴走の礎を作る。
 次のクリントンは、再び民主党に政権が戻ることで希望が持たれたが、保守閣僚が多数入り、実質はあまり前政権から変わっていない。むしろ経済界による政治支配を助長したというマイナス面が大きい。
 そして次のブッシュ・ジュニアの時代になって、いよいよ「悪の帝国」アメリカが完成するのであった。そもそもブッシュが当選した大統領選挙自体が相当怪しいものでなおかつ恣意的なものだったというのは記憶に新しい。まるで途上国の選挙だと思ったのは僕だけではあるまい。そういう人間が権力を握ったらどういうことになるか容易に想像がつくが、結局世界中に災厄をまき散らすことになったのだった。
b0189364_7511841.jpg こうしてアメリカは、1945年以降、血に染まった恥ずかしい歴史を綴ってきたが、いくつかそれを正しい方向に導く契機があったとオリバー・ストーンは言う。1つはヘンリー・ウォレスが大統領にもっとも近付いた1945年(トルーマン側の画策により大統領選挙に敗北)。ケネディとフルシチョフが接近した時代(最終的にケネディが暗殺される)、ゴルバチョフが核兵器廃絶を提案したとき(レーガンがこれを拒否)などもそうで、その都度、アメリカは間違った選択肢を選んできて今に至っている。今のアメリカを見ると、社会保障はないし社会正義も守られていないしでまさに途上国と変わりない有様である。しかもそういう国が、世界最大の武力を持って世界中を脅し続けるってんだから始末に悪い。こういうドキュメンタリーで、アメリカ国民が少しでも過去を振り返って、そして正しい未来を志向するようになれば良いと思うが、保守主義者は相変わらずなんだろうなとも思う。銃規制関連のドキュメンタリー(ドキュメンタリーWAVE『銃と自由とアメリカ 〜銃規制に揺れる開拓の町〜』など)を見たら、保守反動の人達の救いようのなさと利己主義を感じてしまうんだな。アメリカもいずれは過剰な利己主義から脱出できますよう。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『もうひとつのアメリカ史(1)〜(4)(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『もうひとつのアメリカ史(5)〜(7)(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『スターウォーズ レーガンのハッタリ(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『スプリット 二極化するアメリカ社会(ドキュメンタリー)』

by chikurinken | 2013-06-19 07:52 | ドキュメンタリー
<< 『追いつめられて 〜アメリカ ... 『実録! あるこーる白書』(本) >>