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竹林軒出張所

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『クリーンテクノロジーは地球を救うか』(ドキュメンタリー)

クリーンテクノロジーは地球を救うか(2012年・蘭VPRO)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー

素朴でノーテンキなテクノロジー礼賛番組

『クリーンテクノロジーは地球を救うか』(ドキュメンタリー)_b0189364_10593310.jpg いろいろなクリーン・テクノロジー(環境技術)を紹介するドキュメンタリー。
 汚れた水を太陽エネルギーで浄化する器具、水を使わない染色技術、長距離を走行できる電気自動車などを紹介していき、こういったクリーン・テクノロジーが、世界のエネルギー問題、環境問題を救うであろうと主張する。
 ましかし、こういったテクノロジー万能の考え方は、究極の楽観主義に基づいているもので「おめでたい」とも思える。実用化していない技術で世界を変えられると言われても、信用できないのは当然。まず現物が出てきてからその可能性について話そうよと思うのだ。
 それに、この番組で紹介されているテクノロジーに中国のものがあったのも気になる。現状では中国製品は多くが粗悪品であり、極論すればゴミを増やすだけの役割しかないわけで、そう考えると中国製の電気自動車がたとえ現実のものになっても、高い品質のものができあがるのかは少々疑問が残る。粗大ゴミを大量に生みだす結果になるんじゃないだろうかという危惧があるわけだ。そうすると、本来環境のためであったはずのクリーン・テクノロジーが、環境を悪化させる役割を果たすことだって十分考えられる。
 そういったアンバランスさがこのドキュメンタリー全体に漂っていて、このようなアンバランスさはこの番組のようなテクノロジー礼賛番組で往々にして感じるもので、そういった意味で、このテの番組にはあまり価値を感じない。ちょっと発想が素朴すぎるというか、子供じみているというか、もっと大人になった方が良いんじゃないかと感じてしまうのは僕だけではあるまい。なおこの番組では、同様の考え方(テクノロジー礼賛に疑義を呈する意見)も出てくるが、しかし番組の根底に流れるのはテクノロジー万能の考え方である。ノーテンキすぎるんじゃないかと反発を感じる自分が、どうしても頭をもたげるのだ。そもそもテクノロジー万能の考え方が環境悪化を招いたんじゃないのかと悪態の一つもつきたくなってしまう。
★★★

参考:
竹林軒出張所『地上の太陽 “核融合”発電は実現するか(ドキュメンタリー)』
by chikurinken | 2013-04-03 11:06 | ドキュメンタリー
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