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竹林軒出張所

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『ケンちゃんの101回信じてよかった』(本)

b0189364_90978.jpgケンちゃんの101回信じてよかった
宮脇康之著
講談社

元子役の半生……
波瀾万丈にもほどがある!


 40代後半以上の人々なら「ケンちゃん」と言えば「ケーキ屋」や「すし屋」を思い出すくらい、70年代、「ケンちゃん」という名前は全国に浸透していた。当時TBS系列の木曜19:30から放送されていた「ケンちゃん」シリーズは、視聴率が25%以上という人気番組で、「ケンちゃん」は全国の人気者。その「ケンちゃん」を演じていたのが、本書の著者、宮脇康之である。
 この宮脇康之氏、「ケンちゃん」シリーズで全国的に顔と名前が売れるが、その一方、中学時代は壮絶ないじめを受ける。母はステージ・ママとして著者につきっきりになり父ともまもなく離婚、兄は家庭に居場所がなくなりその後自殺未遂までしてしまう。つまりは家庭が崩壊したのだった。当時の「ケンちゃん」は1つの家庭を崩壊させるくらい大きな力を持っていたということになる。
 家庭が崩壊しようが「ケンちゃん」を演じなければならないのはプロの役者として致し方ないところで、結局「ケンちゃん」シリーズを卒業するまで「ケンちゃん」を演じ続けた。その後もテレビ・ドラマに引っ張りだこの状態が続くが、だんだんと芸能関係の仕事が少なくなってくる(三原順子とのスキャンダルが主な原因と著者は言う)。日活ロマンポルノに出演したりするが(森田芳光監督『(本)噂のストリッパー』)、結局仕事の幅を狭める結果になり、最終的には芸能関係の仕事がまったくなくなってしまう。涙ぐましい営業を続けるが、テレビ関係者が掌を返したように冷たくなり、バイトに精を出す日々が始まる。
 一方でなかなか芸能界への未練を断ち切れず、そのためもあっていろいろな詐欺に遭い、借金ばかりがたまっていく(5000万円だと!)。その後も、他人の保証人になって借金を重ねていくような生活を送るが、いろいろな人の助けを受けながら、さまざまな仕事を続けていく。やがて結婚し子供ができた頃から生活を見直すことができ、ビジネスでも成功して借金も完済しそして今に至るという、そういう半生が本書で綴られている。
 考えようによっては悲惨な人生ではあるが、子役時代には大金を稼いでいて随分良い思いもしていたわけで、そうすると人生いくら良いことがあっても最終的にはトントンになるということなんだろうか。「ケンちゃん」の人生も最初は打ち上げ花火のように上がったが、その後どん底で今は普通より上ぐらいの感じである、傍目には。著者本人も過去を悔やんでいるわけではなく、それを乗り越えてきたことに誇りを感じているようで、それがタイトルの「101回信じてよかった」という思いにつながっている。
 子役出身の人達は悲惨な人生を送る人が少なくないようだが、同時代を視聴者として生きた人間としては彼らに一方的な愛着を持っているもので、それなりで良いから幸せな人生を送ってほしいと思う。そうそう、「ケンちゃん」の妹役だった「トコちゃん」こと佐久間まゆみだが、かねてより子ども時代に死んだという噂を聞いていたが、成人後の姿が本書に登場する。「ケンちゃん」と再会したとき(バブルのとき)、なんと銀座のクラブでホステスをやっていたらしく、それは僕にとっては結構な驚きではあるが、一方で死んだという噂がガセだったことになんとなく安堵したのだった。別に身内ではないが、なんかやっぱり親近感があるのだな。それから「チャコちゃん」の四方晴美もお元気らしい、本書によると。ただしこの本は2004年発行だから、その後についてはわからない。なお「トコちゃん」の佐久間まゆみ(佐久間真由美)は「ケンちゃん」シリーズの後も『がんばれ!!ロボコン』や『がんばれ!レッドビッキーズ』に出ていたらしい。全然知らなかった。あの噂はどこから出ていたんだと思うね。
★★★☆
by chikurinken | 2013-03-04 09:01 |
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