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竹林軒出張所

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『豚と軍艦』(映画)

b0189364_851287.jpg豚と軍艦(1961年・日活)
監督:今村昌平
脚本:山内久
撮影:姫田真佐久
美術:中村公彦
音楽:黛敏郎
出演:長門裕之、吉村実子、三島雅夫、小沢昭一、丹波哲郎、加藤武、南田洋子

イマヘイらしい異色の展開

 戦後の横須賀を舞台にした「重喜劇」。
 基地の町、横須賀で、ポン引きやヤクザの手先をしている若者(長門裕之)の青春を描く。恋人(吉村実子)に堅気になるよう求められながら、一攫千金を夢見てなかなか堅気になれない主人公が、人から利用されたり、突っ張ったり、極端に走ったりする。内容はシリアスながら喜劇的な要素が随所に登場するが、監督の今村昌平自身はこういう映画を「重喜劇」と呼んでいるらしい。
 養豚で儲けようとするヤクザ組織、自分が胃ガンであると思い込む心気症のヤクザ(丹波哲郎)、娘に米兵の愛人になれとしきりに勧める母親など、次から次へと異色のエピソードが繰り出されてめまぐるしい。このあたり、いかにも今村昌平らしいと言える。これだけいろいろなものが盛り込まれながら、ストーリー展開上まったく違和感がないのも大したものである。
 基地の町の歓楽街がとてもゴチャゴチャした感じで、何だか息が詰まりそうだが、この街のセットはすべてスタジオ内に作られたらしい。冒頭部分、カメラが移動しながら通りの様子を映し出すという、溝口健二ばりの移動撮影が繰り広げられるが、相当大きなセットであることがわかる。また、セットは細かい部分までよく作り込まれていて非常に質が高い。
 問題提起がありながらエンタテイメントの要素もふんだんに盛り込まれていて、存分に楽しめる映画だが、セリフを聞きとりづらい箇所が結構多く、録音については疑問符がつく。また、ストーリーがてんやわんやで少しまとまりに欠くのも、個人的にはあまり好ましく思えないが、しかし今村昌平らしさが出た佳作であるのは間違いない。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『にあんちゃん(映画)』
竹林軒出張所『うなぎ(映画)』
竹林軒出張所『赤い橋の下のぬるい水(映画)』
竹林軒出張所『人間蒸発(映画)』
竹林軒出張所『ゆきゆきて、神軍(映画)』

by chikurinken | 2013-02-13 08:51 | 映画
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