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竹林軒出張所

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『老人漂流社会』(ドキュメンタリー)

老人漂流社会 終の住処はどこに(2013年・NHK)
NHK総合 NHKスペシャル

明日は我が身の老年フライデー

b0189364_856035.jpg 一人暮らしの老人が体調を崩して倒れたりすると、病院に入院することになるが、ある程度体調が回復するととたんに病院を追い出される。今はそういうシステムなんだそうだ。だからといって一人暮らしできる人ばかりとは限らない。一人暮らしに復帰できない人は、どこかの介護付き施設に入らなければならないが、手厚い介護が付いた(比較的費用が安い)特別養護老人ホームは、3年先まで予約が埋まっているということですぐには入所できない。そんなときどうするかというと、空きのあるショートステイの施設に一時的に入所することになる。ただこちらも1カ月くらいが上限だそうで、1カ月過ぎればいられなくなる。そして別のショートステイ施設に赴くが、こちらも1カ月すると出ていかなければならなくなる。こうして定住できない「漂流老人」が生まれる。
 更に悲しいのは、こういった人々は、安い年金でなんとかやりくりしている人が多いため、入所にかかる費用を負担できないということである。結局、差額分は生活保護でまかなわれることになるが、国の方針に従って今まで国民年金を掛けてきた普通の人々が生活保護を受けなければならないというのも、本人には忸怩たる思いがあるんじゃないかと察せられる(僕自身は生活保護を受けることにあまりためらいはないが)。こういうのは何もかもシステムの不備が原因で、これから高齢化していくのがわかりきっているのにいまだにちゃんとした福祉対策が打てないでいることがそもそもの要因である。
 このドキュメンタリーではそういう現状をルポルタージュ形式で報告する。国のシステムが悪いなどと特に声高に叫ぶでもなく、さまざまなケース・スタディを淡々と紹介していく語り口は見事である。
 番組の中で専門家と呼ばれる人がいくつか提言をしていたが、ありきたりで大して説得力のあるものではなく、彼らに対して「あなた方もいずれ同じ目に遭うんだよ」などと皮肉な見方をしてしまう自分がいる。もっともこの僕も「明日は我が身」の予備軍の1人ではある。福祉システムも完備できない上、その資金すらいずれ雲散霧消してしまいそうで(竹林軒出張所『日本国債(ドキュメンタリー)』参照)、日本国民の先行きは暗いと言わざるを得ない。
★★★☆

追記:
 タイミングよくというか、「<生活保護>7.3%引き下げ」(毎日新聞ニュース)というニュースが入ってきた。どうも今の政権は、借金は増やしても、必要なところに金を使う意志はないようだ。
by chikurinken | 2013-01-28 09:01 | ドキュメンタリー
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