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竹林軒出張所

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『時にはいっしょに』(1)〜(11)(ドラマ)

時にはいっしょに(1986年・フジテレビ)
演出:河村雄太郎、舛田明廣
脚本:山田太一
音楽:渡辺博也
出演:伊東ゆかり、細川俊之、南野陽子、角田英介、洞口依子、石田えり、坂上忍、佐藤友美、永瀬正敏、山本學

脚本家の豪腕が光る正統派ホームドラマ

b0189364_9261145.jpg 25年前にフジテレビで放送された、山田太一脚本のドラマ。離婚する夫婦と、それに翻弄される子ども達の生き様を描く。
 山田太一の離婚ネタは他にはあまり知らないが、いずれにしても珍しい。離婚ネタであってもホームドラマには変わりなく、いかにもというようなホームドラマである。だが、そこはそれ、安直に展開するようなものではなく、テーマは結構重い上、例によって視聴者に対しさまざまな問いかけがなされる。といってもドラマ自体は軽めに展開し、見ていて気持ちが滅入るようなこともない。
 夫婦の離婚に伴い、高校生の2人の子どもはそれぞれの親の側に別れていく。こうして家族は分断されるが、さらに2つの小家族内でもそれぞれが自分の世界を持つようになる。他の元家族のことを気にかけながらも自分の生活(恋愛や仕事)にはまっていき、精神的に付いたり離れたりを繰り返しながら、結局は適切な距離感を新しく確立していくという流れだが、非常に自然に推移するため違和感はあまりない。ただ、後半になるとストーリー上偶然に頼っている部分がいくつかあり、多少白けてしまう部分もある。ドラマで偶然が何度も出ると呆れてしまうものなんだが、作者(山田太一)もそれを意識してか、「こういう偶然があるのか?」「同じ町だから出会うこともある」などといったセリフで言い訳している。この辺は作者の良心なのかも知れない。
 キャストは結構異色で、特別うまい人はいないが、セリフによってキャラクターの魅力が吹き込まれているような部分がある。そのためどの登場人物も魅力的である。特に、洞口依子と石田えりが良い。石田えりは同時期の『昨日、悲別で』より格段に良く、シナリオでこんなに違うかと思うほどである。また南野陽子もけなげさが伝わってきて非常に魅力的。永瀬正敏は高校生役である。登場人物や設定が非常に魅力的であるため、かれらのことごとくに親近感を感じる。この頃の山田太一は全盛期と言ってよく、その豪腕ぶりがいかんなく発揮されているように思う。また、主演の4人の家族を自転車に対応させた演出もなかなか心憎い。
 ドラマとしては非の打ち所がないほどのデキだが、やはり偶然に頼っている部分が少し鼻に付く。偶然に頼ったドラマというのも、山田作品では他にあまりないんじゃないかと思う。そういう点でも山田ドラマとして少し異色と言えるかも知れない。
★★★☆

参照:
竹林軒出張所『山田太一のドラマ、5本』
竹林軒出張所『昨日、悲別で(1)〜(13)(ドラマ)』
竹林軒出張所『ウホッホ探険隊(映画)』

by chikurinken | 2013-01-19 09:27 | ドラマ
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