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竹林軒出張所

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『モダン・タイムス』(映画)

モダン・タイムス(1936年・米)
監督:チャールズ・チャップリン
脚本:チャールズ・チャップリン
音楽:チャールズ・チャップリン
出演:チャールズ・チャップリン、ポーレット・ゴダード、ヘンリー・バーグマン

笑いの中に散りばめられた大いなる批判精神

『モダン・タイムス』(映画)_b0189364_8355199.jpg チャップリンの古典的名作映画で、今さらあれこれ言うまでもないような有名な作品。
 ストーリーは、1本芯が通ったようなものではなく、どちらかと言うと小ネタを寄せ集めたようなもので、『独裁者』や『街の灯』などと比べるとやや散漫な印象を受ける。とは言うものの、それぞれの小ネタは風刺が効いていて、しかも予想外のギャグが次から次へと繰り出される。今回見るのは2回目だが、それでも度肝を抜くようなネタには大笑いし、同時に感心する。チャップリンのウィットが随所に見え隠れする。同時に官憲に対する不信感みたいなものも散りばめられている。また、矛盾した社会制度に対する告発もあちこちに見受けられる。
 フランス映画の『自由を我等に』が下敷きになっているという話をWikipediaで読んでなるほどとは思ったが、映画のテーマが違うせいか今までまったく気が付かなかった。また全体にサイレント映画になっているが、特に序盤などところどころトーキーの部分もある。これも、意図的にやったことらしい。
 チャップリンによる音楽も見事で、随所に出てくる「スマイル」も効果的。個人的には「ティティーナ」が好きなんだが、「ティティーナ」の場面で披露されるボードヴィル風の芸は、元ボードヴィル芸人、チャップリンの面目躍如というものである。ストーリー的には多少物足りなさは残るが、随所に見所満載で、それに主張がしっかりしていて、さすが古典的名作と思わせるものがあった。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『チャップリン自伝 ― 若き日々(本)』
竹林軒出張所『チャップリン自伝〈下〉栄光の日々(本)』
竹林軒出張所『チャップリンの黄金狂時代(映画)』
竹林軒出張所『キッド(映画)』
竹林軒出張所『ニューヨークの王様(映画)』
竹林軒出張所『街の灯(映画)』
竹林軒出張所『殺人狂時代(映画)』
竹林軒出張所『サーカス(映画)』
by chikurinken | 2013-01-16 08:41 | 映画
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