日本国債(2012年・NHK)
NHK総合 NHKスペシャル
今度は財政がメルトダウン
日本国債の発行残高が700兆円を超える。ついでに日本の累積債務も1000兆円を超えた。そのことにあらためて警鐘を鳴らすレポート。
現在日本の国債は、その多くが金融機関によって購入され、金利も非常に安定しているが、今のペースで国債依存体質を続ければいずれは破綻するのが明らかで、そうなってくると政府予算で利子を支払うことさえできなくなり、結果的に今の一部のヨーロッパ諸国のような経済混乱が起こるのは必至という、そういう内容である。
番組では国内の銀行の関係者、財務省の関係者、海外投資家の話を伝え、現状を報告する。アメリカのヘッジファンドが日本国債を狙っているという話もそら恐ろしい気がする。
今後どうなるかは誰にも想像がつかず……と言うより、日本の政府は例によって「都合の悪いことはないことにする」というお家芸のご都合主義で対抗しようとしている。そもそも累積債務の問題は10年以上も前から指摘されていて、ソフトランディングするチャンスは何度かあったが、日本の政府当局者はことごとくそれを逃してきて、ハードランディングどころかいよいよ墜落かという時期になってきたんである。ああそれなのにそれなのに、なんと新しい政府はアベノミクスなどといいながら、債務を一段と増やす方策を取っている。景気刺激策と言うが、ここ20年間、同種の方策で経済が好転したことはなく、自民党や公明党がよく口にする「ばらまき」政策以上のものだったことは過去なかったと記憶するが、性懲りもなくまた同じ轍を踏むらしい。だが今度のは、本当に発火装置になるかも知れないという気がする。経済が少しだけ好転する可能性はないわけではない(もっとも経済が好転したところで債務が減るとも思えない)が、相当やばいギャンブルで、強いて言えばヤベーノミクスと言えるんではないかと思う。
私の記憶が確かならば、バブル前夜もあの当時の好景気が終わるなどと考える人はほとんどなかった。なんとなく危ないんじゃないかと思いつつ、ここまで問題なかったんだから今後もこの状況が続くんじゃねぐらいに考えていた人が多かったように思う。過去を振り返って考えれば、そんな状況がずっと続くなんてことあり得ないのは火を見るより明らかなんだけどね。そして今現在、あのバブル経済崩壊前夜に近いような印象を抱くのだ。この番組を見ることでそういったことを余計強く感じたのだった。NHKがこのタイミングでこういった番組を放送したことを高く評価したいと思う。
★★★☆参考:
竹林軒出張所『862兆円 借金はこうして膨らんだ(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『スペイン危機を生きる(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『バブル 終わらない清算(ドキュメンタリー)』