ブログトップ | ログイン

竹林軒出張所

chikrinken.exblog.jp

『喜劇 にっぽんのお婆あちゃん』(映画)

喜劇 にっぽんのお婆あちゃん(1962年・M.I.I.プロダクション)
監督:今井正
脚本:水木洋子
出演:ミヤコ蝶々、北林谷栄、十朱幸代、木村功、市原悦子、田村高広

お婆ちゃん・お爺ちゃん名優勢揃い

『喜劇 にっぽんのお婆あちゃん』(映画)_b0189364_8401363.jpg 「喜劇」とタイトルについているが、中身はなかなか悲惨である。老人問題に鋭く切り込んだ映画で、いつの時代でも老人には厳しい社会だとあらためて認識させられる。もっとも、問題提起はなかなか鋭いが、ストーリー自体は少しばかりご都合主義的である。
 俳優陣はきわめて豪華で、ミヤコ蝶々と北林谷栄が主役のニッポンのお婆ちゃんを演じるが、その他にも飯田蝶子、浦辺粂子、原泉、東山千栄子とお婆ちゃん名優が並ぶ。左卜全や殿山泰司、伴淳三郎らのお爺ちゃん男優も多数出演。なお、主演の北林谷栄だが、老婆役は若い頃からで、アニメでもお婆ちゃんの役をやっている(『となりのトトロ』)。ミヤコ蝶々もこの頃から老婆役が多くなったような気がする。ちなみにこの映画当時、42歳(北林は51歳)。
 総じて可もなく不可もなくというような作品になってしまったが、テーマ自体は非常に重い。谷川俊太郎の「ぽつねん」という詩が頭の中で渦巻いていた。

ぽつねん
詩:谷川俊太郎

『喜劇 にっぽんのお婆あちゃん』(映画)_b0189364_8405039.jpg公園の陽だまりに
おばあさんひとり ぽつねん
やがて極楽 でも今地獄
膝は痛むし 目はかすむ
富士山だって 崩れてく
もういいかい まあだだよ

孫たちの顔おぼろ
おばあさんひとり ぽつねん
やがて極楽 でも今地獄
桜ばっかり 花ざかり
いろはにほへと なんまいだ
もういいかい まあだだよ

来し方も行く末も
おばあさんひとり ぽつねん
やがて極楽 でも今地獄
することもなし 退屈だ
救急車でも 呼ぼうかね
もういいかい まあだだよ
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『となりのトトロ(映画)』
竹林軒出張所『日曜劇場 終りの一日(ドラマ)』
竹林軒出張所『極楽家族(ドラマ)』

by chikurinken | 2013-01-07 08:43 | 映画
<< 『最期のコンサート あるチェロ... 『輝きたいの』(1)〜(4)(... >>