ブログトップ | ログイン

竹林軒出張所

chikrinken.exblog.jp

『テルマエ・ロマエ』(映画)

テルマエ・ロマエ(2012年・「テルマエ・ロマエ」製作委員会)
監督:武内英樹
原作:ヤマザキマリ
脚本:武藤将吾
出演:阿部寛、上戸彩、北村一輝、市村正親、宍戸開、笹野高史、竹内力

『テルマエ・ロマエ』(映画)_b0189364_1004181.jpg ヤマザキマリ原作のマンガ(竹林軒出張所『テルマエ・ロマエ I、II(本)』参照)を映画化したもの。
 原作のマンガもはなはだ安直なストーリー展開だったが、マンガでいるうちはそれほど気にならなくても実写にしてみると荒唐無稽さと安直さが際立って、どうにも吉本新喜劇みたいな、軽さばかりが目立つ映画になってしまった。製作の中心メンバーはフジテレビだが、いかにもフジテレビで放送しそうなドラマをそのまま映画にしてみましたというような映画で、本来であればテレビでやるようなクオリティである。ただし、イタリアのチネチッタ撮影所を使った豪華なセットは、テレビ・ドラマの予算ではなかなか再現できないだろうし、それを考えると「テレビで放送すれば良いじゃないか」とはなかなか言えないところだ。ましかし、見る側は映画を見るつもりではなく、フジテレビ製のテレビ・ドラマを見るような気持ちで見ればあまり落胆もしないのではないかと思う。
 キャストは、阿部寛、北村一輝、市村正親、宍戸開らの濃い顔のメンバーが、イタリア人に混じってしれっとローマ人を演じていて、その辺が話題作りの一環でもあったんだろうが、イタリア人の中に入ってしまうといくら濃い顔であっても日本人には違いない。違和感たっぷりである。演技もオーバーでいただけない。なんでも監督の武内って人はフジテレビの人間のようで、フジテレビのスピンオフ映画を過去たくさん撮っている。メディア・ミックスと言えば聞こえは良いが、(角川商法ならぬ)フジテレビ商法健在といった雰囲気が映画の全編に漂う。
 ストーリーはほぼ原作を活かしているが、安直さに輪がかかったような話になってしまった。なんでもイタリア全土で公開する運びになったらしいが、一人の日本人として、こういう馬鹿話をあまり海外の人に見せたくはないなというのが正直な気持ちである。
★★★

参考:
竹林軒出張所『テルマエ・ロマエ I、II(本)』
竹林軒出張所『翔んで埼玉(映画)』

by chikurinken | 2012-12-25 10:02 | 映画
<< 『督促OL 修行日記』(本) 『ゴーイング マイ ホーム』(... >>