ブログトップ | ログイン

竹林軒出張所

chikrinken.exblog.jp

『熱いトタン屋根の猫』(映画)

b0189364_814185.jpg熱いトタン屋根の猫(1958年・米)
監督:リチャード・ブルックス
原作:テネシー・ウィリアムズ
脚本:リチャード・ブルックス、ジェームズ・ポー
出演:エリザベス・テイラー、ポール・ニューマン、バール・アイヴス、ジャック・カーソン、ジュディス・アンダーソン、マデレーン・シャーウッド

 テネシー・ウィリアムズの有名な戯曲を映画化したもの。そのため、ハリウッド映画でありながらドンパチは一切なく、地味な人間ドラマになっている。
 出ている役者も舞台出身者が多いのかうまい人ばかりで、上質の演劇を見るような印象すら受ける。それぞれの登場人物に家族関係に対するそれぞれの思いがあって、それが少しずつ明らかになっていくんだが、その過程も非常に自然でまったく無理がない。さすがテネシー・ウィリアムズという展開である。ただ、ポール・ニューマン演じるブリックが、最後にどうしてああなったかはまったく納得がいかない。ちょっと無理矢理に予定調和にしたような印象がある。ブリックが同性愛者であることがあまり明確にされていない点も、そういう無理を生じさせる原因になったのかとも思う。あるいは、この時代に映画で同性愛者を描くことに無理があったのかも知れない。ましかし、総じてよくできたストーリーの映画で、会話劇でこれほどスリリングに展開していく映画はあまりない。
 キャストは先ほども書いたようにどれもうまく、ポール・ニューマン、バール・アイヴス、マデレーン・シャーウッドが独特の存在感を放つ。演出も正攻法で、戯曲らしく三一致の法則に従って作られている。
 テネシー・ウィリアムズの戯曲はハリウッドで何度も映画化されており、ハリウッドにとって、おそらくここ一番の文芸路線だったんだろうが、今まで見たものはどれも真面目に取り組まれたものばかりで、質の高いものが多い。特に『ガラスの動物園』とこの『熱いトタン屋根の猫』は非常に立派な作品で申し分ない。ハリウッドの良心と言えるような作品である。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『冬のライオン(映画)』
竹林軒出張所『第十七捕虜収容所(映画)』
竹林軒出張所『フロント・ページ(映画)』
竹林軒出張所『ロープ(映画)』
by chikurinken | 2012-12-17 08:14 | 映画
<< 『ファントム』(映画) 『ファウスト』(映画) >>