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竹林軒出張所

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『巨人のイタチョコの星のシステム』(本)

巨人のイタチョコの星のシステム
ラショウ著
毎日コミュニケーションズ

『巨人のイタチョコの星のシステム』(本)_b0189364_7441770.jpg かつて雑誌『Mac Fan』に連載されていた4コママンガ「ソフトハウス盛衰記 巨人のイタチョコの星のシステム」をまとめたもの。著者は、イタチョコシステムの総帥、ラショウ。ちなみにこのイタチョコシステム、1990年代にMac用のゲームを10数本リリースしたソフトハウスで、『野犬ロデム』や『あの素晴らしい弁当を2度3度』が(ごく一部のMacユーザーの間で)知られている。パソコン用のゲームと言っても、現在の感覚で考えてもらうとちょっと違う。当時からヘナチョコゲームを自称していたようだが、非常に異色のゲームだった。さすがに当時の僕もイタチョコゲームを買ってプレイしようとは思わなかったが、しかしそれでも『Mac Fan』に連載されていたマンガは、絵は少し不気味ではあるが非常に味があって面白いもので、今でも憶えている場面が結構あった(ラショウがボランティア社員のオーツキに親から金を借りてくれとせびるシーンなど)。
 ラショウがソフトハウスを始めて操業していく過程を追った起業話だが、どこか職人的で、利益を追求するという姿勢はあまり見えず、著者が言うように、起業を目指す人には参考にならないかも知れない。だが、こういう姿勢はもの作りを志す人間にとっては大切だとも言える。随所に90年代のMacが登場してきて、同じ時代をMacユーザーとして過ごしてきた人間にとっては懐かしい。当時Macは今よりずっとマイナーで、アップルもいつ潰れてもおかしくないような危機的な状況だった。それでもMacを使い続ける人々がいて、しかもこんな怪ゲームをリリースしていたソフトハウスがあったわけだ。CD-ROMが普及していく過程も懐かしく思い出され、こういうことがあったなーと感じることしきり。
『巨人のイタチョコの星のシステム』(本)_b0189364_804459.jpg 余談だが、この本すでに廃刊状態で、2004年に復刊ドットコムで復刊候補として上がったようだが結局復刊の運びにはならなかったようだ。僕は今回古本で手に入れたんだが、割合出回っているようで、わざわざ復刊する必要はないんじゃないかとも思う。なんと言っても復刊リクエストの数によっては値段が7000円以上になる可能性もあったらしい。古本だと700円程度で買えることだし、それに僕が買った本には著者の奇怪なサインまで入っていた。Amazonにも古本がまだ数冊出回っているんで、欲しい方はそちらでお求めになったらいかがだろう。少なくとも7000円で手に入れるべき本ではないような気がする……。ラショウ氏もそんなことは望んでいないと思うんだな。そうそう、イタチョコのゲームだが、Mac版はもう手に入らないが、Windows版は今でも入周可能。『野犬ロデム』も『あの素晴らしい弁当を2度3度』もVectorで入手可能なようだ(以下のリンクからたどれます。詳細は未確認なのでご自身でご確認ください)。
★★★☆

参考:
ヘナチョコゲームセレクション for Windows - iTachoco Systems - pentacom イタチョコ
by chikurinken | 2012-10-31 07:45 |
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