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竹林軒出張所

chikrinken.exblog.jp

『それ行け!! 珍バイク』(本)

それ行け!! 珍バイク
ハンス・ケンプ著
グラフィック社

b0189364_861387.jpg 以前テレビで見たベトナムのルポルタージュで、ある町工場の男が壊れた数台のオートバイからいろいろなパーツを取り出して1台のオートバイを組み上げたという事例が紹介されていた。そのとき純粋に「ベトナムすげっ!」と思ったが、この写真集に出てくるベトナムのスナップショットも、かの国の底力を感じさせるものになっている。
 この写真集は、ベトナムの路上を走っているさまざまなバイクの写真を集めたものだが、そのバイクというのが「積載量完全オーバー」という代物ばかり。バイクの前後の荷台にものを載せるのはもちろんで、中には左右にも載せているものもある(と言うより結構多い)。載せているのは食糧(鶏肉や豚肉、野菜、果物)、日常品(家具、玩具、冷蔵庫!)など多種にわたる。生きている犬(たぶんペット)を前後ろに4頭載せているものや、袋に入れた金魚を山積みしているものもある。2人乗りで(後ろに乗った男が)ガラスや額縁や鏡を持ったものや、家族で5人乗りしているものもあって、見るからに危なっかしい。しかしこういうものを見ると、バイクで運べないものはないんじゃないかと思えてくるから不思議だ。小型自転車を7台搭載したものやポリタンク(5〜10リットル程度のもの)を1000個以上搭載したものまである。これまでの常識が覆される思いがする。
b0189364_862992.jpg なんでもベトナムでは、交通渋滞がひどく、自動車で移動するよりもバイクで移動する方が効率的だそうで、それでこういった珍奇な工夫が出てくるんだろうということだ。ちなみに写真を撮ったハンス・ケンプ氏だが、彼もバイク・タクシー(つまりバイクの後ろに人を乗せるタクシー)の後ろに乗っかった状態で激写したんだそうで、これもはなはだベトナム的。
 荷台に何でも積んでしまうという創意工夫は、複数の壊れたオートバイからオートバイを1台作るというのと相まって、なんとなくテクノロジーの国というイメージを僕にもたらす。結果的にベトナムに対して親近感を感じることになる。それに街にあふれるエネルギーというか活力まで伝わってきて、なんだか元気が出る。ベトナムがちょっとだけ好きになる写真集であった。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『ベトナム戦争関連のドキュメンタリー3本』
竹林軒出張所『ひとりじゃなかよ(本)』

by chikurinken | 2012-10-27 08:08 |
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