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竹林軒出張所

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ナマ冨田勲が出た!

ナマ冨田勲が出た!_b0189364_1259732.jpg 先日いつものように『タモリ倶楽部』を見ていると、なんとあの(!)巨匠、冨田勲が登場。
 テーマは「温故知新シリーズ (1)」ってことで、古いシンセサイザ、MOOGIII-Cを使って音を出してみようという企画である。そもそもこのシンセサイザを日本で最初に購入したのが冨田勲だそうで、MOOGIII-Cを使うという企画であればこの人以上に適任な人はいないんだろうが、それにしてもよくこんな番組に出てきたなと思う。ちなみに冨田勲以外に、弟子の松武秀樹って人(僕は全然知らなかったがエライ人らしい)も登場したが、実際に音出しするのはこの人がほとんどだった。
 さて、この『タモリ倶楽部』、レギュラー陣が進行途中に茶化したりするので、エライ人が出ると見ているこちらがヒヤヒヤするんだが、この回はそういう部分はあまりなく、滞りなく進行する。冨田勲がシンセサイザに魅せられたいきさつ(大阪万博のときに『スイッチト・オン・バッハ』というアルバムを聴いたのが始まりだそうで)や、当時1千万円でアメリカから個人輸入したという話(費用は借りたらしい)、輸入する際税関で1カ月足止めを喰らったという話も非常に興味深い(楽器であるということが理解されなかったそうだ)。さらに、手に入れたは良いが使い方がわからず、「大変な鉄クズをアメリカから買いこんじゃった」(本人談)と思ったという話も面白い。で、手に入れてから数年後1974年にアルバム『月の光』を発表するんだが、これがアメリカでヒットし、「シンセサイザの冨田勲」として知られるようになったんだそうだ。
ナマ冨田勲が出た!_b0189364_8232682.jpg 僕が個人的に冨田勲を知ったのは、『惑星』が最初で、当時中学生だった僕は小遣いをはたいてこのLPレコードを買ったが、シンセサイザ・アルバムとしてはすでに4作目だったそうである('77年発売)。冨田勲の作品は当時一般的にも人気があったようで、FMラジオでもときどき流れていたし、CMでも使われたりしていて、個人的にはそこそこ馴染みがあった。そういうわけで僕の中では永らく「冨田勲=シンセサイザ」だったんだが、その後、シンセサイザ以前にNHKのテレビ番組のテーマ曲をたくさん書いているということを知ることになった。あの『新日本紀行』や『きょうの料理』のテーマまで冨田勲が書いていたというのもこのとき知ったのである。ナマ冨田勲が出た!_b0189364_8235214.jpg最近ではこういうのをまとめたアルバム『TOMITA ON NHK〜冨田勲 NHKテーマ音楽集』も出ていて、冨田の作品を回顧できるようになっている。あらためてこの人のすごさがわかるってもんである。
 さて、その冨田勲だが、この『タモリ倶楽部』で、このマシンを使ってどうやって『月の光』の音を作ったかまで細かく説明していて、正味15分弱のこの番組がものすごい密度で展開されていた。音作りの前段階のインタビューも非常に密度が濃く、1視聴者の僕は終始ワクワクしていたのだった。今回に限っては「空耳アワー」を省いてほしかったと思ったほどである。間違いなく僕にとっての『タモリ倶楽部』歴代ベスト3に入る名作だったと言ってよい。ちなみにこの放送、僕は数日前に見たが、東京では2週間前に放送されていたそうである。

参考:
竹林軒出張所『訪問インタビュー 冨田勲(ドキュメンタリー)』
Wikipedia「冨田勲」
竹林軒『マニアの集い タモリ倶楽部』
by chikurinken | 2012-09-24 08:25 | 音楽
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