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竹林軒出張所

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『ニッポンの旅 江戸達人と歩く東海道』(本)

ニッポンの旅 江戸達人と歩く東海道
石川英輔著
淡交社

『ニッポンの旅 江戸達人と歩く東海道』(本)_b0189364_8213243.jpg 講談社から出ている『大江戸シリーズ』の石川英輔の著書。新刊本かと思って読んだんだが、新刊ではなかった。それに講談社の本でもない。内容は江戸時代の旅についてで、江戸の旅については、これまで『大江戸シリーズ』でも何度も触れられている(竹林軒出張所『石川英輔の本、5冊』参照)。『雑学「大江戸庶民事情」』で詳細に触れられているし、『大江戸泉光院旅日記』でも、江戸時代の旅を甦らせるような試みが行われている。本書も上記の2冊と同じような狙いで、江戸時代の旅について解説しながら、東海道五十三次の旅を疑似的に再現してみようという試みで、この本も「過去の著作の焼き直し」みたいな内容であった。ただしこれも他の石川英輔の著作と共通するが、内容は非常に含蓄に富んでいて面白い。
 江戸時代の人々は、とにかく旅好きで、実際に、街道しかり宿泊施設しかりで旅のためのインフラも随分整っていたらしい。文政十三年の伊勢神宮遷宮の際は、日本全国から500万人が伊勢神宮を訪れたという(当時の総人口が3,100万人だったため国民の6人に1人が伊勢に行った計算になる)。関所なんかもわりに良い加減でフリーパスに近かったというし(例外もある)、治安も非常に良かったという。あげくに子どもたちだけのグループとか無銭旅行者までいたらしいが、それがまた、実際に伊勢参詣までできていた(街道沿いの人々の支援もあったらしい)というからすごい。装いや持ち物、駕籠や馬などの交通機関、貨幣などについても詳細な解説があり、「疑似旅行」をする上で十分な知識が得られる。
 こういう本を読むと、江戸への憧憬がいやが上にも増してくるんだが、今の感覚からいくと、つくづく不可思議な世界であると思う、江戸時代の社会というのは。
★★★

参考:
竹林軒出張所『石川英輔の本、5冊』
竹林軒出張所『大江戸泉光院旅日記(本)』
竹林軒出張所『雑学「大江戸庶民事情」(本)』
竹林軒出張所『大江戸えねるぎー事情(本)』
竹林軒出張所『大江戸テクノロジー事情(本)』
竹林軒出張所『大江戸リサイクル事情(本)』
竹林軒出張所『大江戸ボランティア事情(本)』
竹林軒出張所『江戸空間(本)』
竹林軒出張所『大江戸庶民いろいろ事情(本)』
竹林軒出張所『大江戸えころじー事情(本)』
竹林軒出張所『実見 江戸の暮らし(本)』
竹林軒出張所『大江戸生活体験事情(本)』
竹林軒出張所『江戸時代はエコ時代(本)』
竹林軒『書籍レビュー:江戸の新発想』
竹林軒出張所『三河吉田藩・お国入り道中記(本)』

by chikurinken | 2012-08-22 08:22 |
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