NHK特集 永平寺(1977年・NHK)
NHK総合 NHK特集
曹洞宗の総本山、永平寺の厳しい冬の生活に迫るドキュメンタリー。
永平寺といえば厳しい修行で有名だが、150人の雲水(修行僧)をかかえる大寺院でもある。全国各地から修行のために若者が集まる。修行は早朝から夜まで1日中続き、曹洞宗の開祖道元の教えを守った生活を続ける。
永平寺の雲水については、映画
『ファンシイダンス』で扱われているが、このドキュメンタリーに出てくる雲水には、もちろんあんなおちゃらけた人物はいないが、どちらが本当の姿に近いかは何とも言えない。いずれにしてもこのドキュメンタリーに登場する人々は無心で修行する人々ばかりで、取材する側もさすがにそうそう突っ込んでもいられないだろうし、建前の線で作られたドキュメンタリーであることは間違いない。インタビューなども試みられるが、通り一遍の回答であまり面白味はない。またインタビューもマイクを突きつけるようなもので古さを感じる。ナレーションも洗練さに欠けており時代を感じさせる要因になっている。
ただやはり、禅寺という一般にはまったく知られていない環境を紹介したのは有意義であるし、修行の厳しさはよく伝わってくる。なんせマイナス10゜Cの環境で、寺の周りは雪で覆われているときている。しかも素足だし、修行の場に暖房は当然無いし、見るからに寒そうである。真冬に見たら見てるこちらが凍えるんじゃないかと思うほどである。こういう生活が700年も営々と引き継がれているということに畏敬の念を抱く。
永平寺はその後も何度かNHKのドキュメンタリーで取り上げられており、寺側もNHKに対してはオープンなんだろうと思う。それぞれの番組を見比べるのもまた一興かなと思う。個人的には、建前をすべて排除しなおかつ禅宗の様式美などをうまく伝えている『ファンシイダンス』が好きだが。
★★★参考:
竹林軒出張所『永平寺 禅の世界(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『何も求めず ただ座るだけ(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『ビギナーズ 日本の思想 道元「典座教訓」(本)』竹林軒出張所『行 比叡山 千日回峰(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『大峯千日回峰行 修験道の荒行(本)』竹林軒出張所『大峯千日回峰行の道を行く(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『禅 × 21世紀(ドキュメンタリー)』