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竹林軒出張所

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『未解決事件File. 02 オウム真理教』(ドキュメンタリー)

未解決事件File. 02 オウム真理教(2012年・NHK)
「オウム真理教 17年目の真実」第1部、第2部
「オウムVS警察 知られざる攻防」
NHK総合 NHKスペシャル

b0189364_8375048.jpg 3部構成のドキュメンタリーで、全編あわせると3時間半近くに及ぶ。もっともオウムの事件についてはこれでも足りないくらい、語られるべきことは多い。ちなみに前半の「オウム真理教 17年目の真実」第1部、第2部が再現ドラマ、後半の「オウムVS警察 知られざる攻防」が純粋なドキュメンタリー形式になっている。
 再現ドラマ部分では、今回新しく発見された700本以上のカセットテープと、今回初めて公の場に登場したという元幹部信者の話を基にドラマ仕立てでオウム事件を回想する。世田谷の「オウムの会」の立ち上げから、教団内での事故死、殺人、サリン製造、松本サリン事件、地下鉄サリン事件、一斉検挙に至るまで、元幹部信者の視点で描かれる。番組内では「真相は闇の中」とたびたび語られるが、基本的には、教祖の麻原彰晃が純粋な若者を利用して世界征服という野望のために暴走したという構図で描かれている。ドラマとしては少し安っぽさが漂うが、具体的でわかりやすいのでドキュメンタリードラマとしてはまったく問題ない。出演者は萩原聖人、冨樫真、羽場裕一、豊原功補らで、この部分が後半の「オウムVS警察 知られざる攻防」の前振りのようになっている。
 後半の「オウムVS警察 知られざる攻防」では、当時の状況が詳しく紹介される。1995年当時、地下鉄サリン事件以前に、長野県警、神奈川県警、警視庁、警察庁が教団に迫っており、3月22日に警視庁を中心に山梨県上九一色村の教団施設に対し強制捜査を行うことが決まっていた。これに対し教団側は先制攻撃として3月20日に毒ガス、サリンを日比谷線や丸ノ内線でまくことで、大量殺人を狙った。これが地下鉄サリン事件の構図である。番組では、元警察関係者の聴き取りを中心にして、警察側の視点でそれまでの攻防が詳細に描かれる。
 オウム関連の事件は、17年前とは言え、あまりに衝撃的で今でも場面場面ではよく憶えているし、幹部の名前さえスラスラ出てくるが(ちなみに上祐史浩もこの番組のインタビューに登場……少し老けていた)、各事件の関連性がどうなっていたかすでに忘れていた事柄が多く、こういうふうにまとめた形で提示されると個人的にはとてもありがたい。おりしも指名手配犯が逮捕されるなど、今でも事件は続いているという印象である。いずれにしても、オウムのような閉ざされた社会では、行動や思考がエスカレートしやすくなるというのがよくわかるし、教祖を中心とするリーダーたちが認知的不協和を解消(竹林軒出張所『なぜあの人はあやまちを認めないのか(本)』参照)することで深みにはまっていった過程もよくわかった。一方でどこかかれらの中に「お遊び」的な安易さを感じたのだが、それは番組製作者側の意図だったのかも知れない。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『A(映画)』
竹林軒出張所『A2(映画)』
竹林軒出張所『「A」 マスコミが報道しなかったオウムの素顔(本)』
竹林軒出張所『カルトの思い出(本)』
竹林軒出張所『なぜあの人はあやまちを認めないのか(本)』
竹林軒出張所『未解決事件File. 05 ロッキード事件(ドキュメンタリー)』
by chikurinken | 2012-06-04 08:38 | ドキュメンタリー
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